


こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今回は「IBS(過敏性腸症候群)と心の繋がり、脳腸相関」についてお話させていただきます。
前回の内容を踏まえ、中でも原因の一つであるストレスと脳腸相関の関係について掘り下げていきますので、もし前回の内容をお読みになっていない方は是非ご覧になってからこちらをお読みください。
最後までお付き合い頂けますと幸いです。
◎ IBS(過敏性腸症候群)と心の繋がり、脳腸相関
IBSにおいて特に注目すべき点は、IBSが心と体の両方に影響を及ぼす疾患であるということです。これを理解するために、脳と腸がどのように関わり合っているのかを今回はお話していきます。
前置きとして前回の内容を引用させて頂きますが特に症状による精神面への影響は計り知れません。
IBSは、身体的な不快感だけでなく、「また症状が出るのではないか」という不安が常に心の中に蔓延り、生活の質(QOL)を招いてしまいます。これにより、以下のような影響が見られます。
・社会活動や外出への恐怖感
・仕事や学業への集中力の低下
・抑うつや不安障害の併発
これらの心理的要因がさらに症状を悪化させ、症状に対するストレスが更に症状の悪化を引き起こすという悪循環が生まれてしまいます。
症状改善の為には多面的なアプローチと包括的なケアが必要とされます。腸の過敏性の改善を目指した治療が主流ですが、心理的なサポートや腸内環境を整えることも欠かせません。
・脳腸相関
前述の通りIBSは患者へ大きなストレスを与えます。そしてそのストレスは脳、そして体全体にも影響を及ぼしているのです。
脳と腸は深い関係にあり、腸は「第二の脳」と呼ばれることがあります。実際、腸には「腸管神経系(ENS: Enteric Nervous System)」という独自の神経ネットワークが存在し、脳と密接に連絡を取り合い、情報共有を行っています。このつながりは「脳腸相関」と呼ばれ、腸が単なる消化器官以上の役割を果たしていることを示しています。
たとえば、ストレスを感じたときにお腹が痛くなったり、緊張でトイレが近くなったりするのは、脳腸相関の一例です。これは脳が自律神経を介して腸にストレスを受けたという刺激を伝えるからです。逆に、腸に病原菌が感染すると、脳で不安感が増すとの報告もあるそうです。
IBSでは、この脳腸相関のバランスやその仲介役となっている自律神経のバランスが崩れることで、症状が引き起こされると考えられています。そしてこれらのバランスを崩してしまう大きな原因の一つとして ストレス があげられます。ストレスが及ぼす脳への悪影響の一例として、ストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌や幸せホルモン(セロトニン等)の分泌低下があげられます。特に幸せホルモンの分泌低下は精神面への影響が大きく、気分の落ち込みや何かしようとする意欲の低下、自己肯定感の低下などがあげられます。
セロトニン不足への対応策としては
・栄養バランスの良い食事
・セロトニンの合成に必要な必須アミノ酸であるトリプトファンを含む食品の摂取
・日光浴
・良質な睡眠
・適度な運動
などがあげられますが運動は特に効果的とされており、有酸素運動やリズム運動はその中でも有効性が高いです。2024年10月に更新しましたブログ「鍼灸と月経前症候群(PMS)④」の中で詳しくご紹介させていただいておりますので、併せてお読みいただけますと幸いです。
・腸内環境
腸内環境について前回も少しお話させて頂きましたが、実は腸内環境は脳腸相関に深く関わっています。腸内細菌叢(腸内フローラ)が乱れてしまうと、脳腸相関によって腸から脳へ悪い影響を与える可能性があります。短鎖脂肪酸の減少や便秘や下痢などの消化器系の症状の他、肌荒れやアレルギー、慢性的な身体の不調、うつ症状など全身へ影響を及ぼします。
そのため、IBSの治療には、腸内環境を整えることも重要とされています。
◎IBSと生活の質(QOL)
IBSが患者の生活に与える影響は非常に大きいです。腹痛や便通異常といった身体的症状だけでなく、日常生活や社会活動においても多くの制約が生じます。 前回少しお話させて頂きましたが、具体的にどういったケースがあるのか見ていきましょう。
1. 仕事や学業への影響
突発的な腹痛や下痢のために、外出が不安になったり、会議や授業など日常生活で必要なことに集中できなくなることがあります。また、頻繁なトイレの使用自体がストレスとなることも少なくありません。
2. 対人関係への影響
外食や旅行など、社会的な活動を楽しむことが難しくなる場合があります。外見からわからない分周囲の理解を得にくい疾患であることから、孤独感を感じる方も多いとされています。
3. 心理的負担
IBSの症状が慢性的に続くと、「また症状が出るかもしれない」という不安や抑うつ状態に陥ることがあります。このような心理的要因がさらに症状を悪化させるという悪循環も、IBSの特徴の一つです。
月末のブログではこれらに対するセルフケアについて取り扱う予定ですので、そうぞお付き合いください。
今週もお読み下さりありがとうございました。
今回は「IBS(過敏性腸症候群)と心の繋がり、脳腸相関」についてお話させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
次回は「IBS(過敏性腸症候群)に対する鍼灸治療における臨床研究、またそのレビュー」についてお話させていただきます!
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木
こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
謹んで新年のお慶びを申し上げます
本年もどうぞよろしくお願い致します。
今月は「鍼灸とIBS(過敏性腸症候群)」を題材としてお話させて頂きます。
まず導入としてIBS(過敏性腸症候群)の病態について詳しくご紹介させていただきたいと思います。
最後までお付き合い頂けますと幸いです。
◎目次・導入
・IBS(過敏性腸症候群)の病態
・IBS(過敏性腸症候群)と心の繋がり、脳腸相関について
・IBS(過敏性腸症候群)に対する鍼灸治療における臨床研究、またそのレビュー
・IBS(過敏性腸症候群)に対する鍼灸治療の効果と効能、使われる経穴
・参考文献
◎IBS(過敏性腸症候群)の病態
IBSは、「機能性消化管疾患」と呼ばれるカテゴリに属します。
器質的な異常(臓器にがんや潰瘍、炎症など明らかな異常があり、その結果として症状が現れること) がないにもかかわらず、腹痛や便通異常が繰り返し起こる疾患です。
消化器疾患の中でも患者数が多く、日本では成人の10~20%が経験しているとされています。特に男性より女性に多く、年代別では思春期から壮年期までみられ、20~40歳代に好発します。男性は下痢型が多く、女性は便秘型、あるいは下痢と便秘を繰り返す混合型が多く、発症時には何らかのストレスが関わっていることが多いといわれています。
【症状とタイプ別の特徴】
IBS(過敏性腸症候群)の主な症状として、以下のものがあげられます。
・慢性的な腹痛または腹部の不快感
・便秘や下痢、またはその両方を伴う便通異常
・腹部膨満感やガス過多
そしてこれらの症状は、以下の4つのタイプに分類されます。
1. 便秘型(IBS-C):便が硬く、排便が困難になるタイプ
2. 下痢型(IBS-D):軟便や水様便が頻繁に起こるタイプ
3. 混合型(IBS-M):便秘と下痢が交互に現れるタイプ
4. 分類不能型(IBS-U):明確に分類できない不規則なタイプ
これらのタイプは患者様ごとに異なり、日常生活に与える影響も多様です。
【病態のメカニズム】
IBSの病態は、複数の要因が複雑に絡み合うことで生じます。以下にその主要な要因を挙げます。
1.腸の過敏性
顕著な特徴の一つが、腸管の感覚が通常よりも敏感になっていることです。この現象を内臓過敏症(Visceral Hypersensitivity) と呼びます。内臓過敏症はIBSの腹痛や不快感の主要な原因の一つと考えられています。 具体的には、腸管内のガスの滞留や食物の通過といった日常的な腸管活動が、過剰な痛みや不快感として認識されます。この内臓過敏症は、腸管内で分泌されるセロトニン(5-HT)の作用異常や腸管神経系(ENS)の過剰反応が関与しています。
2.セロトニンの分泌異常
上記の文章にも登場した「セロトニン」ですが、セロトニンは腸管運動と感覚の調節を行う重要な神経伝達物質であり、腸管内でその大半が生成されます。IBSにおいてこのセロトニンの分泌異常が腸管の痛覚過敏や異常な運動機能を引き起こすと考えられています。
3.脳腸相関の異常
腸は脳と密接に連携して働いています。この「脳腸相関」が乱れると、腸の運動や感覚が過敏になるだけでなく、ストレスや心理的要因が症状を悪化させます。
こちらについては次回詳しくお話させていただきます。
4.腸内環境の変化
腸内環境の維持には、腸内細菌叢(腸内フローラ)が重要な役割を果たしていますが、IBSではこの細菌叢に異常が見られることが多いです。この状態を腸内細菌叢のディスバイオーシス(Dysbiosis)と呼びます。 健康な腸内では善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)と悪玉菌(病原性細菌)がバランスを保っていますが、IBSでは善玉菌が減少し、悪玉菌が増加する傾向があります。これにより腸内ガスの過剰発生や腸管の炎症が促進されることがあります。また、善玉菌は腸内で短鎖脂肪酸を生成し、腸管粘膜の健康を維持しているため、腸管のバリア機能が低下するとされています。
5.ストレスの影響
心理的ストレスはIBSの症状を悪化させる主因の一つです。ストレスは腸の動きを乱し、腹痛や便通異常を引き起こします。また、IBSの症状自体がさらなるストレスを生むため、悪循環に陥りやすいのも特徴です。
6.腸管運動機能の異常
IBSは腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:食物を腸内で移動させる動き)が亢進または低下してしまい、不規則になります。この運動異常により、便秘や下痢といった便通異常が引き起こされます。特に下痢型IBS(IBS-D)では運動亢進が、便秘型IBS(IBS-C)では運動低下が顕著です。混合型IBS(IBS-M)では腸管の運動が不規則になることで、便が腸内で適切に移動できなくなり、便秘や下痢が交互に現れます。
7.食事や環境因子
IBSは食事や生活習慣によっても症状が変化することが知られています。個人差がありますが、一部の方は特定の食品(乳製品、脂肪分の多い食品、辛いものなど)が症状を悪化させるトリガーとなります。また、睡眠不足や運動不足も腸管運動や免疫機能に影響を与えます。
8.腸管免疫の活性化
腸管粘膜での低レベルの炎症反応が確認されることがあります。腸管粘膜には免疫細胞が多く存在し、外来刺激に対する防御を担っています。しかし、IBSではこの免疫反応が過剰に活性化し、腸管の知覚過敏を助長すると考えられています。
上記のようにIBSの病態は腸管の感受性亢進、運動異常、腸内細菌叢の乱れ、免疫系の活性化、食事や環境因子など、多岐にわたる要因が複雑に絡み合っています。この疾患は器質的な異常がないため、診断や治療にはこれらの多様な病態を包括的に考慮する必要があります。
【心理的要因とQOLへの影響】
先程述べたようにIBSは、身体的な不快感だけでなく、心理的負担も大きい疾患です。「また症状が出るのではないか」という不安が慢性化し、生活の質(QOL)が低下します。これにより、以下のような影響が見られます。
・社会活動や外出への恐怖感
・仕事や学業への集中力の低下
・抑うつや不安障害の併発
IBS患者ではこれらの心理的要因がさらに症状を悪化させるため、包括的なケアが必要とされます。
治療に向けた多面的なアプローチや
IBSの病態を理解することは、治療戦略を立てる上で重要です。腸の過敏性や脳腸相関の改善を目指した治療が主流ですが、心理的サポートや腸内環境を整えることも欠かせません。
今週も読んで下さりありがとうございました。
今回は「IBS(過敏性腸症候群)の病態」についてお話させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
次回は、文章中にも出てきた脳腸相関をベースとして「IBS(過敏性腸症候群)と心の繋がり、脳腸相関」についてお話しさせていただきます。
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木
こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今回は「糖尿病に対する鍼灸治療の効果と効能、使われる経穴」についてお話させて頂きます。
糖尿病は、現代の健康問題の中でも最も重要な課題の一つです。血糖値の管理や合併症の予防が治療の主軸となる中で、薬物療法や食事療法、運動療法だけでなく、補完医療の選択肢も広がりつつあります。その中で鍼灸治療が注目を集めています。伝統的な東洋医学の知恵と、現代科学のアプローチが融合することで、糖尿病治療の可能性が新たに見直されています。現在では科学的な研究により、その生理学的効果が次々と明らかになっています。本記事では、糖尿病に対する鍼灸治療の効果、そして具体的に使用される経穴について解説します。
また、最後に今月更新分のブログに用いた参考文献を記載しますのでご参考までに。
◎ 鍼灸治療の効果と効能
前回お話させて頂いた研究の中から引用して作用について詳しく説明していきたいと思います。
・自律神経系の調節
鍼灸治療は、交感神経と副交感神経のバランスを整える作用があります。特に副交感神経を刺激することで、インスリン分泌の促進や血糖値の安定化が図られ、グルコース代謝の改善に有効であることが研究で示されています。また、自律神経を介して血流が促進されることで、全身の代謝機能を高める効果も期待されています。
・抗炎症効果
慢性炎症は糖尿病の進行による合併症の一つです。鍼灸治療は、痛みや腫れなど炎症反応の原因となる炎症性サイトカイン(TNF-αやIL-6など)の産生を抑えることで、炎症を軽減させます。この結果、インスリン感受性の向上や血管の健康維持につながります。
・ストレス軽減
ストレスはコルチゾールを過剰に分泌させるため、血糖値を悪化させる大きな要因となります。鍼灸治療は、血圧や血糖値を上げる一因となるコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を抑える作用があります。その結果、血糖値が安定し、睡眠の質の向上が見込めます。さらに、ストレス軽減により患者の生活の質(QOL)が向上し、治療意欲や健康管理への意識が高まるというメリットもあります。
また上記に伴って血糖値の管理や糖尿病の合併症の改善、末梢神経を刺激することで脊髄を介して中枢神経に信号が伝わり、痛みの軽減やリラックス効果が期待できるなど多面的な効果が期待できます。
◎使用される経穴
参考文献の中で用いられていた経穴、またその他糖尿病の諸症状に役立つ経穴とそれらの効果を以下にご紹介いたします。
1. 足三里(あしさんり) – 胃経
位置: 膝の下、脛骨の外側にあります。
効果: 消化機能を高め、エネルギー代謝を促進する作用があります。特に、糖尿病において血糖値の安定を助ける可能性があり、全身の気力や体力を向上させることが期待されます。
2. 三陰交(さんいんこう) – 脾経
位置: 足首の内側、内くるぶしの上にあります。
効果: ホルモンバランスの調整や血液循環の促進に優れています。糖尿病に伴う冷えやむくみの改善、さらに内分泌系へのアプローチが可能とされています。
3. 合谷(ごうこく) – 大腸経
位置: 手の甲、親指と人差し指の骨が交わる部分にあります。
効果: 自律神経の働きを整えることで、ストレスの軽減に寄与します。血糖値変動の背景にある精神的負担を和らげる点で重要な経穴です。
4. 太衝(たいしょう) – 肝経
位置: 足の甲、第1趾(親指)と第2趾(人差し指)の間のくぼみにあります。
効果: 血流の改善や筋肉の緊張緩和に役立ちます。また、リラックス効果をもたらし、身体全体の調和を図る作用があります。
5. 内関(ないかん) – 心包経
位置: 前腕の内側、手首の中央から指3本分上にあります。
効果: ストレスや不安を和らげ、自律神経を調整する作用があります。また、精神的な安定や睡眠の質の向上にも寄与します。糖尿病患者においては、ストレス軽減を通じて血糖値の安定化に役立つとされています。
6. 百会(ひゃくえ) – 督脈
位置: 頭のてっぺん、両耳を結んだ線と正中線の交点にあります。
効果: 副交感神経を活性化し、自律神経のバランスを整える効果があります。精神を落ち着かせる作用に加え、血流促進による全身の代謝機能向上が期待されます。特に、糖尿病患者の全身的な健康管理に有用です。
7. 曲池(きょくち) – 大腸経
位置: 肘を曲げた際にできるしわの外端にあります。
効果: 炎症を鎮める効果が高く、特に糖尿病に伴う炎症や痛みの軽減に役立ちます。また、全身の免疫力を高める作用も期待されます。
8. 壇中(だんちゅう) – 任脈
位置: 胸の中心、乳頭を結んだ線の中央にあります。
効果: 呼吸を整え、心を落ち着ける作用があります。ストレスによるコルチゾール過剰分泌を抑える効果があり、血糖値を安定させる助けとなります。また、気の巡りを良くし、疲労回復にも効果的です。
◎参考文献
Liu, X., et al. (2018). Effects of acupuncture on blood glucose in type 2 diabetes mellitus patients: A randomized controlled trial. Journal of Diabetes Research.
Sun, Y., et al. (2019). Acupuncture for diabetic peripheral neuropathy: A clinical study. Pain Medicine.
Zhao, L., et al. (2021). Systematic review and meta-analysis of acupuncture for diabetes. Complementary Therapies in Medicine.
Kim, T. H., et al. (2020). “Acupuncture for the treatment of diabetes mellitus: A systematic review and meta-analysis.”
Diabetes Research and Clinical Practice, 159, 107982. Cho, W. C., & Chen, H. Y. (2009). “Clinical efficacy of acupuncture on diabetes mellitus: A meta-analysis.”
Journal of Acupuncture and Meridian Studies, 2(4), 263–265.
Lee, M. S., et al. (2009). “Acupuncture for treating peripheral diabetic neuropathy: A systematic review.”
The Clinical Journal of Pain, 25(5), 431–437. International Diabetes Federation (2021). IDF Diabetes Atlas (10th Edition).
中国中医科学院. (2015). 鍼灸学概論. 北京科学技術出版社.
日本糖尿病学会
厚生労働省
国際糖尿病連合(IDF)
アメリカ糖尿病学会(ADA)
日本医師会「生活習慣病予防と糖尿病」 日本糖尿病学会編『糖尿病治療ガイドライン 2023』(文光堂)
WHO(世界保健機関)
Standards of Medical Care in Diabetes – 2024.Diabetes Care. 国立研究開発法人国立国際医療研究センター『糖尿病の基礎知識』
鍼灸治療は、糖尿病管理の補完療法として非常に有望な選択肢です。血糖値の調整、合併症の軽減、ストレス緩和といった多面的な効果が期待される一方で、個々の患者に合わせた適切な診断と施術が求められます。また、鍼灸治療は現段階ではあくまで補助療法的な位置づけにあり、薬物療法や食事療法と組み合わせて活用することが重要です(重症度があがれば上がる程、これに該当します)
専門家との連携を取りながら、西洋医学と東洋医学を融合させより効果的な治療を目指していきましょう。
今週も読んで下さりありがとうございました。 今回は「鍼灸治療の効果と効能、使われる経穴」「参考文献」についてお話させて頂きました。
糖尿病についてのシリーズは一度ここで区切りとなりますが、今月のブログはいかがでしたでしょうか?
もしここについて掘り下げて欲しい等ご要望があれば是非お聞かせください!
来月からはまた新しい題材でブログを更新していきますので、お読みいただけますと幸いです。 今週も読んで下さりありがとうございました。
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック千葉駅前院 佐々木
こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今回は「鍼灸治療における臨床研究、またそのレビュー」についてお話させて頂きます。
◎鍼灸治療における糖尿病への効果に関する臨床研究とレビュー
近年、糖尿病の管理において、補完代替医療の一環として鍼灸治療が注目されています。
特に、鍼灸が血糖値の調節、糖尿病性末梢神経障害(DPN)などの合併症の緩和、さらにはストレスや炎症の抑制を通じて、患者の生活の質(QOL)を向上させる可能性があるとする研究が増えています。こうした動きの中で、科学的根拠を積み上げるため、鍼灸治療を用いた臨床研究やレビューが国内外で活発に行われています。今回は、これらの研究の中から鍼灸治療の効果についてお話していきます。
◎糖尿病に対する鍼灸治療の臨床研究
研究例1:血糖値の管理における鍼灸の効果 Liu et al.(2018年)のランダム化比較試験(RCT)では、2型糖尿病患者を対象に鍼灸が血糖値管理に与える影響を検討しました。
この研究では、対象者を以下の2群に分けて8週間治療を行いました。
治療群:標準的な薬物療法(メトホルミン)に加えて、週3回、主要な経穴(例:足三里、合谷、三陰交など)に鍼治療を実施。
対照群:薬物療法のみ。
治療後、治療群では空腹時血糖値(FPG)が平均15mg/dL以上低下し、HbA1c(糖化ヘモグロビン)も0.7%減少しました。一方、対照群ではこれらの数値に有意な変化が見られませんでした。また、患者からは治療後の疲労感や睡眠の質の向上が報告されており、鍼灸が血糖値の調節のみならず、全体的な体調改善にも寄与した可能性が示されました。
この研究は、鍼灸が血糖値を改善する補完療法として有望である一方で、治療の具体的なメカニズムを解明するさらなる研究の必要性を強調しています。
研究例2:糖尿病性末梢神経障害(DPN)への鍼灸の応用
Sun et al.(2019年)の研究では、糖尿病性末梢神経障害(DPN)患者120名を対象に、鍼灸が神経痛や感覚異常の改善にどの程度効果を持つかを評価しました。
治療群:週3回、12週間にわたって電気鍼を含む鍼灸治療を実施。使用経穴は主に太衝、三陰交、足三里など。
対照群:一般的な神経再生療法(ビタミンB12の投与)を実施。
結果として、治療群では疼痛スコア(Visual Analog Scale, VAS)が平均40%以上改善し、感覚機能の回復(触覚および温度感覚の改善)が認められました。さらに、神経伝導速度も有意に向上し、末梢神経の再生や修復に鍼灸が寄与している可能性が示されました。一方、対照群ではこれらの改善が限定的でした。
この研究は、鍼灸がDPNのような難治性の合併症に対する補助療法として注目されるべきであることを示唆しています。
◎システマティックレビューとメタアナリシス
個別の臨床試験を超えて、鍼灸の効果を統合的に評価するため、近年システマティックレビューやメタアナリシスが数多く実施されています。
メタアナリシスの例:血糖値と鍼灸治療 Zhao et al.(2021年)のシステマティックレビューは、糖尿病患者を対象に行われた18件のRCTを分析し、鍼灸が血糖値管理や合併症の緩和に与える効果を評価しました。
主要成果: 空腹時血糖値(FPG)は鍼灸治療群で平均15mg/dL低下。HbA1cは平均で0.6%減少。血糖値だけでなく、炎症性マーカー(C反応性タンパク、TNF-αなど)の有意な減少も確認。
限界点: 一部の研究でサンプルサイズが小さいことや、治療方法の不統一が問題視されました。さらに、偽鍼(シャム鍼)を用いた試験の不足も課題として挙げられました。
◎鍼灸が糖尿病に与える効果のメカニズム
鍼灸が糖尿病患者の症状改善に寄与する可能性が示唆される一方で、その効果を裏付ける生理学的メカニズムはまだ完全には解明されていません。しかし、以下の仮説が広く支持されています。
1. 自律神経系の調節 鍼灸は交感神経の過剰な活動を抑制し、副交感神経を刺激することで、インスリン分泌やグルコース代謝を改善すると考えられています。特定の経穴刺激が迷走神経の活性化を誘発し、血糖値の低下をもたらす可能性が示されています。
2. 抗炎症効果 慢性炎症は糖尿病の病態形成に深く関与しています。鍼灸が炎症性サイトカイン(TNF-αやIL-6など)の産生を抑制し、炎症反応を緩和することで、インスリン感受性を改善する可能性が示唆されています。
3. ストレス軽減 鍼灸によるリラクゼーション効果がコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を抑え、血糖値の安定化に寄与するという報告もあります。
◎鍼灸治療の課題と今後の展望
課題1:研究デザインの改善 多くの研究で盲検化の不備やサンプルサイズの不足が課題として挙げられています。特に、偽鍼(シャム鍼)を用いた対照試験が、効果を正確に評価する上で重要です。
課題2:経穴の標準化 経穴や治療手法が研究ごとに異なるため、結果の再現性に欠ける場合があります。統一された治療プロトコルを策定することが求められます。
課題3:長期的効果の検証 現在の研究は短期間の効果に焦点を当てたものが多く、鍼灸治療の長期的な安全性や有効性についてのデータが不足しています。
今後の展望 :鍼灸は糖尿病の標準的な治療法を補完する有力な手段として、さらに発展する可能性があります。特に、個別化医療(=体質や病気の特徴に合った治療を行うこと)の観点から、患者の病態や体質に応じた鍼灸プロトコルの最適化が期待されています。
糖尿病に対する鍼灸治療は、血糖値管理や合併症緩和において有望な補完療法として注目されています。近年の臨床研究やメタアナリシスは、鍼灸が糖尿病管理に一定の効果を持つことを示唆していますが、研究デザインや標準化の不足といった課題も残されています。今後、高品質な研究を通じて鍼灸の有効性と安全性が確立されることで、糖尿病治療における選択肢がさらに広がることが期待されます。 糖尿病治療の目標は、血糖値を良好に維持し、合併症のリスクを低下させることにあります。HbA1cの目標値は一般的に 7.0%未満 とされていますが、高齢者や合併症を有する患者では、個別の目標値が設定される場合があります。 治療の基本は、食事療法、運動療法、薬物療法(経口薬やインスリン)であり、これらを組み合わせて血糖コントロールを行います。特に合併症の予防や患者の生活の質(QOL)を向上させることが重視されています。
ここまでは各研究テーマに沿ったお話になりました、以下は臨床に携わる私の所感です。 患者様と接させて頂く中で糖尿病の治療は血糖値管理だけでなく、合併症の予防や患者の生活の質(QOL)の向上も大切なのだと感じ、鍼灸師としてそこにアプローチをかけることを目指しています。一部の患者様は薬物療法だけでは血糖値のコントロールが不十分な場合があり、補完医療や代替医療が選択肢として取り上げられることがあります。鍼灸治療はその一つです。
私達が行う鍼灸は基本的に東洋医学に基づく治療法であり、体内の「気(エネルギー)」の流れを整えることで、自然治癒力を高め、病気を改善するとされています。 気の流れ?と聞くと少し胡散臭く聞こえるかもしれませんが、私達は日常の中から「なんとなく雰囲気が悪い」「嫌いな人がいて気が重い」「あの人は良く気が配れる人だ」「気のせいかもしれないが誰かに追われている気がする」といったように、無意識に「気」という言葉を使っています。 気は見える物ではないですが、確実に私達の生活に根付き、そしてそこに存在する物といっていいのではないかと考えます。 私達鍼灸師は細い針を体の特定のツボ(経穴)に刺し、気の流れを調整します。 灸治療では、もぐさを燃やして熱刺激を与えます。これらは、神経系や血流、免疫機能に影響を与えると考えられています。 現代医学的には、鍼灸が神経伝達物質やホルモンの分泌を調節し、鎮痛や抗炎症効果をもたらす可能性があるとされ、糖尿病の症状や合併症への効果が期待できます。 現在西洋医学のように症状に合わせて薬の種類が増えていくという物ではなく、人の身体の状態をみて鍼を刺す経穴や施術を決めて参ります。次回はこちらの内容のついて詳しくお話させて頂きたいと思います。
以下は今回のまとめです。
◎鍼灸治療と糖尿病の関係まとめ
① 血糖値の管理
いくつかの研究では、鍼灸が血糖値を改善する可能性が示唆されています。例えば、ある臨床研究では、鍼灸治療がインスリン感受性を向上させ、血糖値を低下させる効果が確認されています。この効果は、鍼灸が副交感神経を活性化し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制することで実現していると考えられます。 動物実験では、特定のツボ(例えば胃経の足三里、脾経の三陰交)への鍼刺激が血糖値を低下させるメカニズムが報告されています。この現象は、β細胞の機能改善や炎症の軽減によるものとされています。
② 糖尿病の合併症の改善
糖尿病の有名な合併症として神経障害、腎障害、網膜症という三大合併症が挙げられます。 この中でも特に糖尿病性末梢神経障害(DPN)は、患者に痛みやしびれを引き起こし、日常生活に大きな影響を与えます。鍼灸治療は末梢血管の拡張、神経の過剰興奮の抑制を引き起こし、神経障害の症状を軽減する可能性があります。近年では2020年に発表されたメタアナリシスによると、鍼灸治療は糖尿病性神経障害の疼痛緩和に有効であるとされました。この研究では、鍼が血流改善や神経伝達物質の調整を通じて、神経障害の症状を軽減することが示されており、伝統的な東洋医学に再現性のある西洋医学の良い所が合わさった一例ではないかと感じます。
③ その他の効果
鍼灸治療の刺激は末梢の神経から脊髄に入力され、刺激は脳・脳幹部へ電気刺激として伝えられて中枢神経に良い影響を及ぼす事が知られています。とくに鍼灸治療は痛みを伴うストレスの軽減や睡眠の改善にも役立つとされ、これが糖尿病の管理に間接的に貢献します。ストレスは血糖値を上昇させる要因となるため、鍼灸によるリラクゼーション効果は治療の補助として重要です。
④ 鍼灸治療の限界と注意点
一方で、現在西洋医学が万能でないように東洋医学、鍼灸治療にもいくつかの課題があります。まず、治療効果には個人差があり、すべての患者に有効とは限らないという事です。糖尿病に限ったことで言えば糖尿病の重症度や合併症の進行状況によってもその効果が異なるため、適切な診断と専門家による施術が合わせて必要となります。 さらに、現在でも研究が進んでいるとは言え、鍼灸治療は薬物療法の完全なる代替ではなく、あくまで補助的な役割を果たすものである点に留意する必要があります。軽度の方で医師からの同意を得て、施術を行っている方も多くご来院されております(運動療法・食事療法などで対応可能な患者様が多い印象です)、血糖値のコントロールが不安定な場合には、鍼灸治療のみでの管理は推奨されませんのでお気を付けくださいませ。
⑤ まとめと今後の展望
鍼灸治療は、糖尿病の補完医療として一定の可能性を十分に示しています。特に血糖値の調整や神経障害の症状緩和、ストレス軽減といった側面で有益な効果が期待できます。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、エビデンスに基づく適切な治療法の選択と、医師や鍼灸師との連携が重要です。
今週も読んで下さりありがとうございました。 今回は「鍼灸治療における臨床研究とそのレビュー」についてお話させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか? 鍼灸は古くからの伝統療法でありながら、現代の科学の力によってその効果が再評価されています。臨床研究の進展により、鍼灸がさまざまな症状に対して有効であることが示されてきました。今後も鍼灸の研究が進むことで、より多くの人々がその恩恵を受けられることを私は期待しています。皆さんも鍼灸に興味を持ち、実際に体験してみることで、その効果を実感していただければと思います。
来週は・・・今回の内容を踏まえ、「鍼灸治療の効果と効能、使われる経穴」に関してお話させて頂きます。どうぞ付き合い頂けますと幸いです。
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木
こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今回は「糖尿病の病態」についてお話させて頂きます。
前回の内容も踏まえ、糖尿病のメカニズムや進行過程、症状について掘り下げていきたいと思います。重複する内容もある為、おさらいも兼ねて是非お読みくださいませ。
・糖尿病とは
糖尿病は、血液中のグルコース(血糖)の濃度が慢性的に高くなる代謝性疾患です。その発症には主に、インスリンの分泌不足またはその作用の低下が関与します。この状態が続くことで、全身の臓器や組織に深刻なダメージを与え、特に血管、腎臓、神経、網膜などが影響を受けます。糖尿病の病態を理解するために、慢性的な高血糖の影響とその進行過程を詳しくご説明していきたいと思います。
1. 血糖値調節の破綻
通常、血糖値は膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンというホルモンによって調節されています。インスリンは、食後に上昇した血糖を血液から取り出し筋肉や肝臓、脂肪組織に取り込ませることで、血中のグルコース濃度を一定に保ちます。しかし糖尿病では、この調節システムが破綻してしまいます。主に次の2つの病態が絡み合って高血糖が持続します。
インスリン分泌の減少:膵臓のβ細胞が損傷または機能低下を起こし、インスリンの供給が不足する。これは1型糖尿病で特に顕著です。
インスリン抵抗性:インスリンが十分に分泌されていても、標的組織での作用が低下し、細胞がグルコースを取り込めなくなる。この状態は2型糖尿病の主な特徴です。
2. 慢性高血糖の進行と影響
慢性的な高血糖状態は、全身の代謝バランスを崩し、多くの合併症を引き起こします。
(1) 微小血管障害(細小血管への影響)
血管内皮細胞が高血糖にさらされることで、毛細血管が損傷し、以下の合併症を招きます。
糖尿病性網膜症:網膜の毛細血管が障害され、視力低下や失明の原因となります。
糖尿病性腎症:腎臓の糸球体が損傷し、蛋白尿や最終的には腎不全を引き起こします。
糖尿病性神経障害:末梢神経や自律神経が損傷を受け、手足のしびれや感覚鈍麻、消化器症状が現れます。
(2) 大血管障害
大血管における動脈硬化が促進され、以下のような疾患のリスクが高まります。
冠動脈疾患:心筋梗塞や狭心症の原因となります。
脳血管障害:脳梗塞や脳出血が発症するリスクが上昇します。
末梢動脈疾患:足の血流が不足し、潰瘍や壊疽の原因となります。
3. 糖尿病の進行過程
糖尿病の進行は、初期段階から後期段階まで、以下のように展開します:
初期段階(無症状期)
血糖値が基準値を超えても、自覚症状がない場合があります。この段階で早期診断と管理が行われない場合、次第に症状が現れます。
中期段階(症状の顕在化)
高血糖に伴い以下の症状が発生します:
◎多飲・多尿・多食
血中の糖を薄めるために喉の渇きが出てしまい、その結果頻尿が起こります。また異常な食欲の増加も見られます。
◎体重減少
自分の膵臓からでるインスリンが少ない、またはインスリンがうまく作用しないと、食事から摂ったブドウ糖をエネルギーとして使わずに、体内の脂肪や筋肉のタンパク質をエネルギー源として分解してしまうため、体重低下(食べてもやせる)が起きます。
◎倦怠感:血糖値が高いままではエネルギーが細胞に行き渡らないため、慢性的な疲労感が生じてしまいます。
後期段階(合併症の進展)
適切な管理が行われない場合、微小血管障害や大血管障害が進行し、前述のような重篤な合併症が現れます。
4. インスリン抵抗性のメカニズム
特に2型糖尿病では、インスリン抵抗性が発症と進行に深く関わっています。この病態では、インスリンの作用が標的細胞で効率的に発揮されず、以下の要因が原因とされています:
肥満と炎症:肥満に伴い、脂肪組織から炎症性サイトカインが分泌され、これがインスリンシグナルを妨害します。
筋肉の糖利用低下:運動不足により筋肉がグルコースを効果的に取り込めなくなる。
遺伝的要因:インスリン作用の低下に影響を与える遺伝的な変異が存在する。
今週も読んで下さりありがとうございました。
今回は糖尿病の病態についてお話させて頂きましたがいかがでしたでしょうか?糖尿病は早期の発見と適切な治療で進行を遅らせ、合併症を予防できる疾患です。
来週は今月の大きなテーマである糖尿病と鍼灸の関わりについて、「糖尿病に対する鍼灸治療における臨床研究、またそのレビュー 」に関してお話させて頂きます。糖尿病に対する鍼灸の効果について文献をもとにお話させて頂きますので、お付き合い頂けますと幸いです。
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木
こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今回は「眼精疲労の病態」と「眼精疲労の原因への対策」、またセルフケアについてお話させて頂きます。
最初にお話させていただく「眼精疲労の病態」については解剖学と生理学のお話が出てきますので少し難しい内容となっていますが、最後までお付き合い頂けますと幸いです。
◎眼精疲労の病態 ・眼精疲労に関わる解剖学的構造
眼精疲労の状態を更に深く理解するために、まず目の構造と機能についてお話させて頂きます。
眼球は視覚情報を処理するための複雑な構造を持っており、代表的なものとして角膜、水晶体、網膜、毛様体筋、眼外筋などがあげられます。
水晶体:毛様体筋の働きによって形を変える透明なレンズで、厚みを変えることで焦点調整を行います。近距離での作業が多い場合、水晶体は厚くなり続けるため、ピント合わせの負担が増します。この過度なピント合わせが眼精疲労につながります。
毛様体筋:水晶体の厚みを調節する筋肉で、近くの物を見るときに緊張し、遠くの物を見るときに弛緩します。長時間の近距離作業で毛様体筋が緊張し続けると、筋肉の疲労が起こり、眼精疲労が引き起こされます。この疲労感が続くと、焦点を合わせにくくなる「調節機能の低下」も招きます。
角膜 :眼球の最前部に位置する透明な膜で、光を屈折させ、眼内に導く重要な役割を果たしています。長時間のパソコンやスマートフォン作業では、まばたきの回数が減り、角膜の表面が乾燥しやすくなります。角膜の乾燥は「ドライアイ」を引き起こし、眼精疲労の一因にもなります。角膜が乾燥すると酸素供給が低下し、視覚がぼやける感覚や異物感などを生じやすくなります。
瞳孔:目の中央にある黒い円形の部分です。実際には光が目に入る穴であり、光を取り込むための「窓」の役割を果たします。瞳孔そのものには色素がなく、目の中に入った光が奥にある網膜(もうまく)に吸収されほとんど反射しないために黒く見えます。
虹彩:瞳孔の周囲を取り囲むようにある色素膜で、いわゆる茶色や黒色などの瞳の色がある部分です。虹彩の中にある環状の筋肉(括約筋)と放射状の筋肉(拡張筋)を働かせることで瞳孔の開き具合を調節し、光の量を調整する役割を担っています。明るい場所では瞳孔を収縮させ、暗い場所では拡大させています。明るすぎる環境や、光を発する電子機器を見ると虹彩が頻繁に収縮と拡張を繰り返し、疲労の原因となります。また、瞳孔を長時間収縮させていると筋肉の緊張が続き、目の疲れを感じやすくなります。
網膜:目の内部に薄く張っている膜状の組織で、光を電気信号に変換する視細胞(桿体細胞と錐体細胞)が含まれています。明るさの変動が激しい環境は網膜に負荷をかけ、視細胞の機能を低下させる可能性があり、眼精疲労や視力低下の一因となります。
眼外筋 :眼球の運動を担っている筋肉で、眼窩(がんか)、つまり眼球を入れる骨の窪みの内側にあります。視線を上、下、左、右、斜めに動かす役割をそれぞれの筋肉が果たしており、以下の6つの主な筋肉から構成されています。
①上直筋(じょうちょくきん) – 眼球を上方に動かす
②下直筋(かちょくきん) – 眼球を下方に動かす
③内直筋(ないちょくきん) – 眼球を内側(鼻側)に動かす
④外直筋(がいちょくきん) – 眼球を外側(耳側)に動かす
⑤上斜筋(じょうしゃきん) – 眼球を内側および下方に動かす
⑥下斜筋(かしゃきん) – 眼球を外側および上方に動かす
上記した毛様体筋と同じように、長時間同じ距離で物を見続けたり一点に集中して見続けたりすると、筋肉が過緊張状態に陥り、特に電子機器の使用時は、目の調節と輻輳(両目が同じ対象物に焦点を合わせるための動き)が長時間続くため、筋肉に負担がかかります。 このように解剖生理学的にみると眼精疲労は毛様体筋や眼外筋の過剰な緊張や、角膜の乾燥、網膜への負荷など、眼球の構造的な働きが過度に使われることで起こります。特に現代の電子機器の長時間使用は負担をかけやすく、眼精疲労を引き起こしやすいです。 また目の筋肉や血管は自律神経によって制御されており、交感神経と副交感神経のバランス視覚的なストレスが続くと、交感神経の活動過敏が促進され、毛細血管の収縮、血流の低下、目の酸素不足が生じ、このような状態が長時間続くと、眼精疲労が慢性化し、疲労感や頭痛さらには不眠症や集中力の低下などの全身症状を伴うことがあります。
◎眼精疲労の原因への対策
では次に、眼精疲労を防ぎ、目を労わるための具体的な方法についてご説明致します。
・定期的な休憩を取る 何度も記載していますが目の疲れを感じる原因の一つは、近くの物を長時間見つめ続けることです。実は対策は最も簡単で、定期的に遠くを見る習慣をつけるだけで目の筋肉(特に、焦点を合わせるために使われる筋肉)の緊張をほぐし、疲労を軽減することが期待できます。 具体的な目安としてはアメリカの検眼士ジェフリー・アンセルム医師考案の「20分に一度、20フィート(約6メートル)以上離れたものを20秒間見る」という20-20-20ルールがおすすめです。
・正しい姿勢と画面配置を保つ 姿勢が悪いと、目だけでなく首や肩など全身にまで負担がかかります。画面の配置や姿勢に配慮し、体全体に余分な負担がかからないように以下のポイントを参考に環境を改善しましょう。 画面の高さ:自然な視線の高さを維持するために画面の上端が目の高さか、やや下になるように調整しましょう。
画面との距離:画面と目の距離は40~70cm程度を目安にします。画面に近づきすぎると目が疲れやすくなりますので、少し距離を取ることを意識しましょう。
姿勢:背筋を伸ばし、肩の力を抜いて、リラックスした姿勢を心がけます。椅子の高さを調整し、足が床にしっかりとつくようにするとよいです。
・目を温める 温かいタオルなどで目の周りを温めることで血行を促進し、疲れを感じにくくする効果が期待できます。温かさでリラックス効果も得られ、特に一日中パソコン作業をした後や寝る前におすすめです。 温かいタオル(電子レンジで数十秒温めると簡単に用意できます)を目に当て、2~3分ほどそのままにします。寝る前でなければ、温めた後に冷たいタオルで数秒冷やすと、血行促進により一層の効果が得られます。 (温めたタオルで火傷をしないようにお気を付けください)
・目の体操を行う 目をぎゅっと閉じて3秒間キープし、ぱっと開けます。これを5回程繰り返します。 数秒ほどの簡単な手順で血流改善や目の筋肉の緊張を緩める効果が期待できます。
・目に優しい環境を整える 目の疲れを軽減するためには、作業環境も大きく影響します。特に照明や画面の明るさに気を付けることが大切です。 照明と画面の輝度:画面の明るさと部屋の明るさを同じ程度に調整することが大切です。画面や照明がもう一方よりも明るすぎたり、逆に暗すぎたりすると、目が疲れやすくなります。
・規則正しい生活と食事 目の健康を維持するためには、生活習慣も見直す必要があります。バランスの取れた食事と規則正しい睡眠が重要です。 睡眠:目の疲労を回復させるためには、質の良い睡眠が欠かせません。適切な睡眠をとることで、目だけでなく体全体の疲れも癒されます。 栄養:ビタミンAやルテインを含む食品は目の健康に良いとされています。野菜(特に緑黄色野菜)や果物、魚をバランスよく摂取しましょう。
今週は「眼精疲労の病態」と「眼精疲労の原因への対策」、またセルフケアについてお話させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか? セルフケアの中でも特に「目を温める」はタオルやホットパックの重みによって眼球が圧迫され、アシュネル反射という副交感神経を優位にしたり、血圧を下げるなどのリラックスした状態になりやすくなる反射が起こるため、効果が期待できます。日中の疲れをリセットし、深い眠りにつく準備にぜひ取り入れてみてください。
来週は・・・「眼精疲労に対する鍼灸治療の効果と効能」、「使われる経穴」についてお話させて頂きます。お読みいただけますと幸いです。
今週も読んで下さりありがとうございました。
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木
こんにちは。セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今回は「PMSの文献レビュー」「PMSのメタアナリシス・引用文献」についてお話させて頂きます。
◎PMSの文献レビューに関して
鍼灸の効果を評価する為にランダム化比較試験(RCT)や準ランダム化比較試験(CCT)などの試験方法を用いた研究が広く世界で実施されています。
ランダム化比較試験(RCT)・準ランダム化比較試験(CCT)とは、個人の背景因子の偏り(交絡因子)をできるだけ小さくし、ある試験的操作を行うこと以外は公平になるように対象の集団を無作為に複数の群に分け、その試験的操作の影響と効果を測定し、明らかにするための比較研究です。薬物や治療法を適正に評価するための方法として、よく採用される試験方法です。
PMSを題材とした試験は日本でも過去に行われており、鍼灸がPMS症状を緩和することは示唆されています。 2016年に発表されたレポートでは、月経前のイライラを主訴としてPMSの診断基準を満たしている女性を対象に、鍼灸治療を行った群と鍼治療を行わなかった群に分けて、SRS-18質問票を用いて精神状態の測定を行い治療効果を比較しました。
その結果、鍼灸治療を行ったグループは、鍼治療を行わなかった群と比較して症状の主観的な改善が見られました。 特に、主訴であったイライラを含む精神症状の改善が報告されています。また国外で行われたRCTでは、症状の緩和、特に身体的な症状(頭痛、腹部の痛み、乳房の張りなど)が軽減されたと報告されています。
◎PMSのメタアナリシス
複数のRCTを統合したメタアナリシス研究でも、鍼灸治療がPMSに対して有効である事が示唆されています。
メタアナリシス研究とは、前述したランダム化比較試験(RCT)など複数の原著論文のデータを定量的に結合させる統計学的研究手法です。ひとつひとつの研究の結果が矛盾している場合でも、たくさんの研究結果を解析することで、より総合的な評価をすることができます。
2020年に発表されたメタアナリシスでは鍼灸治療がPMSの症状を改善すること、特に心理的および身体的な両方の側面で症状の軽減が認められました。この研究ではPMSの症状を緩和するメカニズムとして、鍼灸が中枢神経系に働きかけ、脳内の神経伝達物質(一例としてセロトニンやエンドルフィン)の分泌を促進する事が発表内では挙げられており、体内の神経伝達物質のバランスが整えられることで、PMSの症状が緩和されるとされています。
例として挙げた「セロトニン」はPMSやPMDD(月経前不快気分症候群)などの精神面の症状と深い関係にあるため、ここで補足として少しだけお話させていただきます。
◎セロトニンについて
セロトニンは別名「幸福ホルモン」とも呼ばれる気分や感情の安定に重要な脳内の神経伝達物質で、
・喜びや快楽、意欲などを司るドーパミン
・緊張や不安、積極性を司るノルアドレナリン
の2つのホルモンのバランスを調節する役割を担っています。
そのためセロトニンが不足してしまうとイライラやネガティブな感情を引き起こしたり、やる気が起きないなどの様々な症状が出るようになります。 生理前の黄体期にエストロゲンが減少するとセロトニンも伴って減少するようになっており、この時にセロトニンが不足しやすいです。
セロトニン不足への対応策として、
・栄養バランスの良い食事
・セロトニンの合成に必要な必須アミノ酸であるトリプトファンを含む食品の摂取
・日光浴
・良質な睡眠
・適度な運動
などがあげられますが中でも運動は特に効果的とされており、海外でも研究が行われています。今回は日常に取り入れやすい3つをご紹介させて頂きます。
1つ目はウォーキングやジョギングなどの有酸素運動です。
特に一定のリズムで行なうことでセロトニンの分泌を刺激するとされています。 目安としては週に3〜5回、20〜30分行うことで、心拍数を上げつつも無理のない範囲で継続できます。
また公園など自然の多い場所を歩くとストレス軽減効果がさらに高まります。 ご紹介する中で最も日常生活に取り入れやすいため是非ご活用ください。
2つ目はヨガやストレッチです。
ヨガやストレッチは、凝り固まった筋肉をほぐして全身の血流を改善し、心身のリラクゼーションを促しストレスを軽減する効果があります。 特に深い腹式呼吸を取り入れるとさらに効果的です。呼吸は副交感神経を刺激し、セロトニン分泌を更に高めます。
3つ目はリズム運動です。
リズム運動とは、一定のリズムで身体を動かすことで、脳内でセロトニンの生成を促進する効果がある運動法です。
また自律神経のバランスを整える作用や体内時計を整える効果もあるため、質の高い睡眠を促進し、全体的なストレス軽減に寄与します。 リズム運動にはウォーキング、ジョギング、ダンス、水泳などが含まれます。 特に、ダンスやエアロビクスなどの音楽に合わせた運動は脳の報酬系を刺激し、モチベーションの向上やポジティブな感情を引き出す効果があります。
気持ちの面でも運動の楽しさを感じやすく、継続しやすい点もメリットです。グループで行うと他者との交流もストレス軽減に寄与し、社会的なつながりが心の健康を支える事にもつながります。 目安としては毎日15〜30分。最初は短い時間から始め、徐々に時間や強度を増やすことが推奨されます。 以上3つが、セロトニン分泌を促す運動です。
身体的な面でも精神的な面でも効果を感じられるかと思いますので、無理のない範囲で是非取り入れてみて下さい!
引用文献
H. フリーマン、E. リケルズ「月経前症候群の有病率」産婦人科
R.ヨンカーズ、K.オブライエン、S.エリクソン「月経前症候群」ランセット
五十嵐 誠「月経前症候群の治療における鍼治療」
『伝統中医学ジャーナル』第 30 巻、第 1 号
K. チェン「PMS に関連する気分障害に対する鍼治療」中国医学研究
L.スミス「月経前症候群に対するストレスとホルモンの影響」女性の健康ジャーナル
アーサー・C・ガイトン 、ジョン・E・ホール「ガイトン生理学」
編 日本理療科教員連盟、公益社団法人東洋療法学校協会、著 教科書執筆小委員会「新版 経絡経穴概論」
磯部哲也「月経前症候群の精神症状に対する鍼治療効果の比較試験」
BABジャパン出版局 「セラピスト」隔月刊2月号
Berger, B. G., & Motl, R. W. (2000).Exercise and mood: A selective review and synthesis of research employing the Profile of Mood States. In R. N. Singer, H. A. Hausenblas, & C. M. Janelle (Eds.), Handbook of sport psychology (pp. 631-647). Thaut, M. H. (2005). Rhythm, Music, and the Brain: Scientific Foundations and Clinical Applications. Routledge.
今週も読んで下さりありがとうございました。 今回は鍼灸の効果への評価に関する内容でしたが、聞きなれない用語も出てきて、少し難しく感じられた部分もあったかと思います。
それでも、鍼灸の世界を少しでも身近に感じていただければ幸いです。
鍼灸が皆さんの健康管理やセルフケアの選択肢のひとつとなることを願っています。
PMSについてのシリーズは一度ここで区切りとなりますが、今月のブログはいかがでしたでしょうか?
もしここについて掘り下げて欲しい等ご要望があれば是非お聞かせください!
来月からはまた新しい題材でブログを更新していきますので、お読みいただけますと幸いです。
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木
こんにちは。セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今回は「PMSによく使われる経穴(ツボ)」についてお話させて頂きます。
◎PMSによく使われる経穴(ツボ) 鍼灸の治療では、特定の経穴(ツボ)を刺激する事で神経系やホルモン分泌の調整、また体内の気:エネルギーの流れを整えます。 今回はWHO(世界保健機関)が認定した国際標準経穴部位の中でも、ご自身でも指で押すことが出来るセルフケア向けのツボをご紹介していきたいと思います。
※「寸」という経穴を取るときの単位が文章内にありますが、 ①中指の第2・第3関節の間の長さか母指の横幅を1寸 ②人差し指・中指・薬指を揃えた横幅を2寸 ③人差し指・中指・薬指・小指を揃えた横幅を3寸 として長さを表しています。これは鍼灸師の実技試験でも用いられる「骨度法(こつどほう)」、「同身寸法(どうしんすんほう)」という性別や年齢、身長、体重等に関係なく骨格を基準として個人の寸法を決める方法です。
「百会(ひゃくえ)」:左右の耳の穴を結んだラインと眉間の中心から頭のてっぺんに向けたラインが頭上で交わるところ、頭頂部の真ん中。少しへこんでいる所に取る。 「百」=多種多様 「会」=会う ここは、たくさんの経絡の交会穴(三陽経、肝経、督脈が交わる場所)なので、「三陽五会」とも呼ばれています。幅広い用途で用いられ、頭痛や不眠症の他、自律神経を整える際にも使われます。
「合谷(ごうこく)」:手の甲側の親指と人差し指の骨が交わる手前にとる。人差し指側に向かって押す。 「合」=二つのことが合わさる 筋と筋とが合わさったくぼみのところにあり、大腸経の原穴であり四総穴でもあります。別名「虎口(ここう)」ともいわれ、親指と人差し指を大きく広げたときに虎の口に似ていることから名付けられました。万能のツボとも呼ばれるほど用途が幅広く、PMSや生理痛の緩和の他肩こりや頭痛、歯痛にも使われます。
「気海(きかい)」:臍の2寸(指3本)下に取る。 「気海」という名前は、気:エネルギーの海、つまり気が集まる場所であることから名付けられました。気の流れを整える重要な経穴とされていて、生理痛の緩和や便秘、下痢にも使われています。せんねん灸やカイロ、湯たんぽ等を用いて温めると効果的です。
「関元(かんげん)」:臍の3寸(指4本)下に取る。 「関」=関所、重要な場所 「元」=元気・元気が生まれるところ 別名「丹田(たんでん)」とも呼ばれ、気が集まる場所とされています。下腹部を温めるツボとして知られていて、せんねん灸やカイロ、湯たんぽ等を用いてここを温めると効率よく全身を温めることができます。
「中極(ちゅうきょく)」:臍の4寸(気海から指3本)下に取る。 「中」=体の上下左右の真ん中 「極」=端 泌尿器系のトラブルや腰痛、冷え、血流促進に使われるツボです。せんねん灸やカイロ、湯たんぽ等を用いて温めると効果的です。
「帰来(きらい)」:中極から左右に2寸(指3本)のところに取る。 「帰」=還る 「来」=戻る 呼吸法によりこのツボに気が集まることから、根底に気が帰る場所という意味。 生理痛の緩和や婦人科系の疾患、不妊症、泌尿器科のトラブルの他、EDや男性不妊にも使われる代表的なツボです。ツボ押しはもちろん、せんねん灸やカイロ、湯たんぽ等を用いて温めると効果的です。
「血海(けっかい)」:膝のお皿の上の内側角から2寸(指3本)上に取る。 「海」=戻って集まるところ(河川の水は海に戻ることから) 血:血液の海、つまり血がたくさん集まる場所であることから名付けられました。血流や血液に関する症状の際に使われるツボです。特に下半身の血流促進によく使われるツボです。
「足三里(あしさんり)」:膝を軽く曲げると、膝のお皿のすぐ下に内側と外側2つのくぼみが出て来るため、その外側のくぼみから2寸(指3本)下に取る。 足の疲れや胃腸の働きを助けると古くから知られている代表的なツボで、俳人である松尾芭蕉も「足三里」に灸をすえて、奥の細道を旅したといいます。ツボ押しはもちろん、せんねん灸で温めるのも効果的です。
「三陰交(さんいんこう)」:内くるぶしの3寸(指4本)上、骨の際に取る。 足の三陰経(肝・脾・腎)が交わる穴。女性のためのツボとも言われていて、下半身の血流改善や冷えに使われるツボです。せんねん灸をで温めるのも効果的です。
今週も読んで下さりありがとうございました。 今回ご紹介させていただいたツボはPMSにももちろん効果がありますが、特に月経予定日の1週間ほど前からツボ押しを行ったり、温めたりすると生理痛をやわらげる効果が期待されます。 夏が終わり空気が冷たく変化し始めている今の時期、お身体が冷えて血流も悪くなってしまいやすいです。血流が悪いと症状の悪化などが懸念されますので、ぜひ今回のブログをご活用頂き、辛いPMS、生理痛を乗り越えましょう!
来週は・・・「PMSの文献レビュー」「PMSのメタアナリシス・引用文献」に関してお話させて頂きます。
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木
いつもセドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院のブログを読んでくださりありがとうございます。
今回から私、佐々木がシリーズとして各症状の背景や治療の論理的基盤についてご説明させて頂きます。専門書や論文からの引用もあり少し難しい内容ではありますが、是非、ご覧頂き健康にお役立てください。
記念すべき第1回目は近年知名度が向上しつつある「月経前症候群( Premenstrual Syndrome)」、通称「PMS」について取り上げて参ります。
月ごとに題を変えて毎週金曜日に更新をしていきますので、どうぞお付き合い頂けますと幸いです。
◎目次・導入
・月経前症候群の概要と鍼灸治療への期待
・PMSに対する東洋医学的な鍼灸治療の背景と理論
・PMSに対する現代鍼灸的な理解
・PMSと自律神経系の関係
・PMSによく使われる経穴(ツボ)
・PMSの文献レビューに関して
・PMSのメタアナリシス・引用文献
◎導入:月経前症候群の概要と鍼灸治療への期待
月経前症候群(Premenstrual Syndrome 以下、PMS)は、女性の生理周期に関連する身体の精神およびその他の症状の複合体であり、特に月経前の数日から2週間程度の期間に発症します。 PMSは成人女性の約30~40%が経験され、その内の約5~10%が日常生活に支障をきたすほどの重度の症状を持つと報告されています。
PMSの症状は「身体的な症状」と「精神的な症状」の2つに大きく分けられます。
身体的な症状:頭痛、乳房の張り、腹部膨満感、筋肉痛、疲労感などが含まれます。
精神的な症状:イライラ、不安感、うつ状態、集中力の低下などが挙げられます。
これらの症状は、個人の女性によって程度が異なり、非常に多様な現れ方をしますが、重症度が高ければ日常生活、人間関係、心理的安全性など多方面で影響を与えます。
PMSの発症メカニズムは現在完全に解明されてはいませんが、主に月経周期に伴うホルモンの変動が関連していると考えられています。
またセロトニンの分泌にも影響を及ぼすとされ、これにより気分の変動やストレス感受性の増加が起こっているとされています。日々のストレスや人間関係、天候やその人の栄養状態、生活環境、睡眠週間などもPMSの発症と重症度への影響があるとされています。
現代西洋医学でPMSに対する従来の標準治療法としては、薬物療法、ホルモン療法、認知行動療法、栄養療法などが用いられています。薬物療法には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や抗うつ薬、ホルモンバランスを調整する経口避妊薬などが含まれます。
ただし、これらの治療法には副作用や長期的な依存性の危険性を孕んでいる事があり全ての患者様に適用したものという訳ではありません。いずれにせよ投薬によりPMSの症状改善がみられる方にも体質改善を目的とした伝統的補完代替医療は必要になると考えられます。その中でも特に鍼灸治療は昨今注目度が高い伝統的補完代替医療とされています。
◎PMSに対する東洋医学的な鍼灸治療の背景と理論
鍼灸治療は、古代から伝わる東洋医学に基づく治療法でありWHOが規定する伝統的補完代替医療の中の代表的な一つです。体内の「気:エネルギー」と「血:血液」「津液:水分・リンパ」の流れを調整する事で健康を維持し、病気を治療・予防します。
中国の医学では、気・血の流れが滞ると体にさまざまな病気や不調が現れると考えられていて、特にPMSの症状は、五臓の「肝」の機能が正常に働いていない状態と関連しているとされます。東洋医学において、肝は気:エネルギーを全身に送る重要な役割を担っています。五臓の中で特に月経周期に深く関わっていると考えられていて、肝気が乱れ「肝鬱気滞(かんうつきたい)」という気が滞り流れない状態になると、PMSのような症状が現れてしまいます。
また「肝鬱気滞」の他に、東洋医学では「脾虚湿盛(ひきょしっせい)」(脾臓の弱さと水分滞留)という状態もPMSの原因となることがあります。鍼灸治療ではこれらの滞ってしまっている気や水分の流れを解消し、全身のバランスを整えることを目的として施術を行います。
◎PMSに対する現代鍼灸的な理解
鍼灸治療によって起こる反射・反応にてPMSに伴う身体および精神的な症状が緩和されるメカニズムは世界各国で研究されており、特に鍼灸施術はストレスと強い結びつきのあるホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制する事が様々な論文から示されています。
この事から鍼灸施術では体内のコルチゾールの分泌を調整する事で、患者様のストレスの軽減をもたらしPMSの症状を緩和する可能性があります。また頭部への鍼灸治療は中枢神経系にも作用し、脳内の神経伝達物質(セロトニンやエンドルフィンなど)の分泌を促進する事で、ストレスの軽減や気分の安定にも取り組む事が報告されています。以上の点からPMSに対する現代鍼灸的なアプローチは年齢・重症度・基礎疾患問わず有効だと言えます。
今週も読んで下さりありがとうございました。
来週は、、、「PMSと自律神経系」の関係についてお話させて頂きます。
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木
こんにちは!
セドナ整骨院・鍼灸院の鍼灸師の春日です。
今回は鍼の作用の残りの作用とお灸の作用をご紹介していきます。
まず鍼治療の作用の復習として
・調整作用
・誘導作用
・鎮痛作用
・防衛作用
・免疫作用
・消炎作用
・転調作用
・反射作用
前回、防衛作用までご紹介させていただいたので、今回は免疫作用
5つ目の免疫作用とは免疫能を高める作用です。
どういうことかと言いますと
外部から体内に侵入した細菌・ウイ

6つ目の消炎作用は鍼治療によって
白血球(外部から体内に侵入し
また血流改善により、痛みを引き起こす物
7つ目の転調作用とは自律神経失調症やアレルギー体質を改善して
8つ目の反射作用とは痛み刺激あるいは温熱刺激による反射機転を
組織、臓器の機能を鼓舞あるいは抑制する作用です。
このような8つの作用をさまざまな症状に合わせて、
使い分けなが
そして、最後にお灸の作用をご紹介します。

お灸は施灸後の血液像(赤血球、血色素量など)、血液凝固時間の
あるいは循環系に対する作用が認められ、
増血作用、
次回は「陰陽五行論」をご紹介していきます。
どうぞ宜しくお願いします。