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眼精疲労の病態と原因への対策

2024.11.08 | Category: 未分類,肩こり,鍼灸,頭痛

こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。

今回は「眼精疲労の病態」と「眼精疲労の原因への対策」、またセルフケアについてお話させて頂きます。

最初にお話させていただく「眼精疲労の病態」については解剖学と生理学のお話が出てきますので少し難しい内容となっていますが、最後までお付き合い頂けますと幸いです。

眼精疲労の病態 ・眼精疲労に関わる解剖学的構造

眼精疲労の状態を更に深く理解するために、まず目の構造と機能についてお話させて頂きます。

眼球は視覚情報を処理するための複雑な構造を持っており、代表的なものとして角膜、水晶体、網膜、毛様体筋、眼外筋などがあげられます。

水晶体:毛様体筋の働きによって形を変える透明なレンズで、厚みを変えることで焦点調整を行います。近距離での作業が多い場合、水晶体は厚くなり続けるため、ピント合わせの負担が増します。この過度なピント合わせが眼精疲労につながります。

毛様体筋:水晶体の厚みを調節する筋肉で、近くの物を見るときに緊張し、遠くの物を見るときに弛緩します。長時間の近距離作業で毛様体筋が緊張し続けると、筋肉の疲労が起こり、眼精疲労が引き起こされます。この疲労感が続くと、焦点を合わせにくくなる「調節機能の低下」も招きます。

角膜 :眼球の最前部に位置する透明な膜で、光を屈折させ、眼内に導く重要な役割を果たしています。長時間のパソコンやスマートフォン作業では、まばたきの回数が減り、角膜の表面が乾燥しやすくなります。角膜の乾燥は「ドライアイ」を引き起こし、眼精疲労の一因にもなります。角膜が乾燥すると酸素供給が低下し、視覚がぼやける感覚や異物感などを生じやすくなります。

 瞳孔:目の中央にある黒い円形の部分です。実際には光が目に入る穴であり、光を取り込むための「窓」の役割を果たします。瞳孔そのものには色素がなく、目の中に入った光が奥にある網膜(もうまく)に吸収されほとんど反射しないために黒く見えます。

虹彩:瞳孔の周囲を取り囲むようにある色素膜で、いわゆる茶色や黒色などの瞳の色がある部分です。虹彩の中にある環状の筋肉(括約筋)と放射状の筋肉(拡張筋)を働かせることで瞳孔の開き具合を調節し、光の量を調整する役割を担っています。明るい場所では瞳孔を収縮させ、暗い場所では拡大させています。明るすぎる環境や、光を発する電子機器を見ると虹彩が頻繁に収縮と拡張を繰り返し、疲労の原因となります。また、瞳孔を長時間収縮させていると筋肉の緊張が続き、目の疲れを感じやすくなります。

 網膜:目の内部に薄く張っている膜状の組織で、光を電気信号に変換する視細胞(桿体細胞と錐体細胞)が含まれています。明るさの変動が激しい環境は網膜に負荷をかけ、視細胞の機能を低下させる可能性があり、眼精疲労や視力低下の一因となります。

眼外筋 :眼球の運動を担っている筋肉で、眼窩(がんか)、つまり眼球を入れる骨の窪みの内側にあります。視線を上、下、左、右、斜めに動かす役割をそれぞれの筋肉が果たしており、以下の6つの主な筋肉から構成されています。

上直筋(じょうちょくきん) – 眼球を上方に動かす

下直筋(かちょくきん) – 眼球を下方に動かす

内直筋(ないちょくきん) – 眼球を内側(鼻側)に動かす

外直筋(がいちょくきん) – 眼球を外側(耳側)に動かす

上斜筋(じょうしゃきん) – 眼球を内側および下方に動かす

下斜筋(かしゃきん) – 眼球を外側および上方に動かす

 

上記した毛様体筋と同じように、長時間同じ距離で物を見続けたり一点に集中して見続けたりすると、筋肉が過緊張状態に陥り、特に電子機器の使用時は、目の調節と輻輳(両目が同じ対象物に焦点を合わせるための動き)が長時間続くため、筋肉に負担がかかります。 このように解剖生理学的にみると眼精疲労は毛様体筋や眼外筋の過剰な緊張や、角膜の乾燥、網膜への負荷など、眼球の構造的な働きが過度に使われることで起こります。特に現代の電子機器の長時間使用は負担をかけやすく、眼精疲労を引き起こしやすいです。 また目の筋肉や血管は自律神経によって制御されており、交感神経と副交感神経のバランス視覚的なストレスが続くと、交感神経の活動過敏が促進され、毛細血管の収縮、血流の低下、目の酸素不足が生じ、このような状態が長時間続くと、眼精疲労が慢性化し、疲労感や頭痛さらには不眠症や集中力の低下などの全身症状を伴うことがあります。

 

◎眼精疲労の原因への対策

では次に、眼精疲労を防ぎ、目を労わるための具体的な方法についてご説明致します。

・定期的な休憩を取る 何度も記載していますが目の疲れを感じる原因の一つは、近くの物を長時間見つめ続けることです。実は対策は最も簡単で、定期的に遠くを見る習慣をつけるだけで目の筋肉(特に、焦点を合わせるために使われる筋肉)の緊張をほぐし、疲労を軽減することが期待できます。 具体的な目安としてはアメリカの検眼士ジェフリー・アンセルム医師考案の「20分に一度、20フィート(約6メートル)以上離れたものを20秒間見る」という20-20-20ルールがおすすめです。

・正しい姿勢と画面配置を保つ 姿勢が悪いと、目だけでなく首や肩など全身にまで負担がかかります。画面の配置や姿勢に配慮し、体全体に余分な負担がかからないように以下のポイントを参考に環境を改善しましょう。 画面の高さ:自然な視線の高さを維持するために画面の上端が目の高さか、やや下になるように調整しましょう。

画面との距離:画面と目の距離は40~70cm程度を目安にします。画面に近づきすぎると目が疲れやすくなりますので、少し距離を取ることを意識しましょう。

姿勢:背筋を伸ばし、肩の力を抜いて、リラックスした姿勢を心がけます。椅子の高さを調整し、足が床にしっかりとつくようにするとよいです。

・目を温める 温かいタオルなどで目の周りを温めることで血行を促進し、疲れを感じにくくする効果が期待できます。温かさでリラックス効果も得られ、特に一日中パソコン作業をした後や寝る前におすすめです。 温かいタオル(電子レンジで数十秒温めると簡単に用意できます)を目に当て、2~3分ほどそのままにします。寝る前でなければ、温めた後に冷たいタオルで数秒冷やすと、血行促進により一層の効果が得られます。 (温めたタオルで火傷をしないようにお気を付けください)

・目の体操を行う 目をぎゅっと閉じて3秒間キープし、ぱっと開けます。これを5回程繰り返します。 数秒ほどの簡単な手順で血流改善や目の筋肉の緊張を緩める効果が期待できます。

・目に優しい環境を整える 目の疲れを軽減するためには、作業環境も大きく影響します。特に照明や画面の明るさに気を付けることが大切です。 照明と画面の輝度:画面の明るさと部屋の明るさを同じ程度に調整することが大切です。画面や照明がもう一方よりも明るすぎたり、逆に暗すぎたりすると、目が疲れやすくなります。

・規則正しい生活と食事 目の健康を維持するためには、生活習慣も見直す必要があります。バランスの取れた食事と規則正しい睡眠が重要です。 睡眠:目の疲労を回復させるためには、質の良い睡眠が欠かせません。適切な睡眠をとることで、目だけでなく体全体の疲れも癒されます。 栄養:ビタミンAルテインを含む食品は目の健康に良いとされています。野菜(特に緑黄色野菜)や果物、魚をバランスよく摂取しましょう。

 

 

今週は「眼精疲労の病態」と「眼精疲労の原因への対策」、またセルフケアについてお話させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか? セルフケアの中でも特に「目を温める」はタオルやホットパックの重みによって眼球が圧迫され、アシュネル反射という副交感神経を優位にしたり、血圧を下げるなどのリラックスした状態になりやすくなる反射が起こるため、効果が期待できます。日中の疲れをリセットし、深い眠りにつく準備にぜひ取り入れてみてください。

来週は・・・「眼精疲労に対する鍼灸治療の効果と効能」、「使われる経穴」についてお話させて頂きます。お読みいただけますと幸いです。

今週も読んで下さりありがとうございました。

セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木


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