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鍼灸とIBS(過敏性腸症候群)②

2025.01.17 | Category: ストレス,自律神経,鍼灸

こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今回は「IBS(過敏性腸症候群)と心の繋がり脳腸相関」についてお話させていただきます。
前回の内容を踏まえ、中でも原因の一つであるストレスと脳腸相関の関係について掘り下げていきますので、もし前回の内容をお読みになっていない方は是非ご覧になってからこちらをお読みください。
最後までお付き合い頂けますと幸いです。


◎ IBS(過敏性腸症候群)と心の繋がり、脳腸相関
IBSにおいて特に注目すべき点は、IBSが心と体の両方に影響を及ぼす疾患であるということです。これを理解するために、脳と腸がどのように関わり合っているのかを今回はお話していきます。
前置きとして前回の内容を引用させて頂きますが特に症状による精神面への影響は計り知れません。
IBSは、身体的な不快感だけでなく、「また症状が出るのではないか」という不安が常に心の中に蔓延り、生活の質(QOL)を招いてしまいます。これにより、以下のような影響が見られます。
・社会活動や外出への恐怖感
・仕事や学業への集中力の低下
・抑うつや不安障害の併発
これらの心理的要因がさらに症状を悪化させ、症状に対するストレスが更に症状の悪化を引き起こすという悪循環が生まれてしまいます。
症状改善の為には多面的なアプローチと包括的なケアが必要とされます。腸の過敏性の改善を目指した治療が主流ですが、心理的なサポートや腸内環境を整えることも欠かせません。


・脳腸相関
前述の通りIBSは患者へ大きなストレスを与えます。そしてそのストレスは脳、そして体全体にも影響を及ぼしているのです。
脳と腸は深い関係にあり、腸は「第二の脳」と呼ばれることがあります。実際、腸には「腸管神経系(ENS: Enteric Nervous System)」という独自の神経ネットワークが存在し、脳と密接に連絡を取り合い、情報共有を行っています。このつながりは「脳腸相関」と呼ばれ、腸が単なる消化器官以上の役割を果たしていることを示しています。
たとえば、ストレスを感じたときにお腹が痛くなったり、緊張でトイレが近くなったりするのは、脳腸相関の一例です。これは脳が自律神経を介して腸にストレスを受けたという刺激を伝えるからです。逆に、腸に病原菌が感染すると、脳で不安感が増すとの報告もあるそうです。
IBSでは、この脳腸相関のバランスやその仲介役となっている自律神経のバランスが崩れることで、症状が引き起こされると考えられています。そしてこれらのバランスを崩してしまう大きな原因の一つとして ストレス があげられます。ストレスが及ぼす脳への悪影響の一例として、ストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌や幸せホルモン(セロトニン等)の分泌低下があげられます。特に幸せホルモンの分泌低下は精神面への影響が大きく、気分の落ち込みや何かしようとする意欲の低下、自己肯定感の低下などがあげられます。
セロトニン不足への対応策としては
・栄養バランスの良い食事
・セロトニンの合成に必要な必須アミノ酸であるトリプトファンを含む食品の摂取
・日光浴
・良質な睡眠
・適度な運動
などがあげられますが運動は特に効果的とされており、有酸素運動やリズム運動はその中でも有効性が高いです。2024年10月に更新しましたブログ「鍼灸と月経前症候群(PMS)④」の中で詳しくご紹介させていただいておりますので、併せてお読みいただけますと幸いです。

・腸内環境
腸内環境について前回も少しお話させて頂きましたが、実は腸内環境は脳腸相関に深く関わっています。腸内細菌叢(腸内フローラ)が乱れてしまうと、脳腸相関によって腸から脳へ悪い影響を与える可能性があります。短鎖脂肪酸の減少や便秘や下痢などの消化器系の症状の他、肌荒れやアレルギー、慢性的な身体の不調、うつ症状など全身へ影響を及ぼします。
そのため、IBSの治療には、腸内環境を整えることも重要とされています。


◎IBSと生活の質(QOL)
IBSが患者の生活に与える影響は非常に大きいです。腹痛や便通異常といった身体的症状だけでなく、日常生活や社会活動においても多くの制約が生じます。 前回少しお話させて頂きましたが、具体的にどういったケースがあるのか見ていきましょう。

1. 仕事や学業への影響
突発的な腹痛や下痢のために、外出が不安になったり、会議や授業など日常生活で必要なことに集中できなくなることがあります。また、頻繁なトイレの使用自体がストレスとなることも少なくありません。

2. 対人関係への影響
外食や旅行など、社会的な活動を楽しむことが難しくなる場合があります。外見からわからない分周囲の理解を得にくい疾患であることから、孤独感を感じる方も多いとされています。

3. 心理的負担
IBSの症状が慢性的に続くと、「また症状が出るかもしれない」という不安や抑うつ状態に陥ることがあります。このような心理的要因がさらに症状を悪化させるという悪循環も、IBSの特徴の一つです。

 

月末のブログではこれらに対するセルフケアについて取り扱う予定ですので、そうぞお付き合いください。

 

今週もお読み下さりありがとうございました。
今回は「IBS(過敏性腸症候群)と心の繋がり、脳腸相関」についてお話させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
次回は「IBS(過敏性腸症候群)に対する鍼灸治療における臨床研究、またそのレビュー」についてお話させていただきます!

セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木


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