


気温が低い今の時期は身体が冷えやすく、胃腸の働きはさらに弱まりやすくなります。胃の不調は、ただの“消化の問題”ではなく、気分や睡眠、日々のやる気にも影響を与えることがあります。
そこで今回は、漢方の力を用いた冬の胃疲れにやさしい日常のセルフケア習慣をご提案させていただきます。
冬は身体を温めることがとても大切です。冷えは体を緊張させるため交感神経が優位になりやすく、自律神経の乱れから胃腸の血流を滞らせてしまいます。
・胃の働きが鈍くなる
・消化が進まない
・気分が落ち込みやすくなる
こういった症状が見られた際は、胃腸が疲れているサインかもしれません。
そんなときは、「内側からゆるめる時間」を意識的につくることがケアの鍵です。特に温かい飲み物をゆっくり味わう時間は、胃だけでなく、自律神経にとっても“落ち着くスイッチ”になります。
冬の温活としてお勧めしたいのが、漢方をブレンドしたお茶です。
当院で販売しております「どくだしトーンヌール茶」は、体を温め、巡りを整える作用を持つ9種類の和漢ハーブがブレンドされており、ケイヒ(シナモン)の香りをはじめ、シソ葉やビワ葉などの香りがやさしく広がり、従来の漢方のような強い苦みなどを感じずに楽しむことが出来ます。
【9種類の生薬】
ケイヒ:体の表面を温め、冷え症改善、代謝促進
ショウガ:体を芯から温め、発汗、血液促進
シソ葉:リラックス作用、利尿、発汗
ビワ葉:皮膚の新陳代謝、むくみ改善
霊芝:滋養強壮、免疫UP、咳止め
ドクダミ:デトックス、利尿
ハトムギ:デトックス、利尿、肌荒れ
甘草:保湿、解毒、各生薬の作用を補う
紅花:血の巡りを改善、婦人病、冷え
実際に試飲や購入していただいた患者様からは
「甘みがあって飲みやすい」
「香り高くて美味しい」
などのお声をいただいております。
ただ“飲むだけ”で終わるのではなく、味や香りと共に温かさを楽しむ時間が心身を癒すことに繋がります。
“温かい飲み物”は、身体を内側からゆるめるだけでなく、気分や自律神経にも作用します。胃と自律神経・気分は深くつながっています。
胃が楽になると、
・気持ちが落ち着く
・不安感が和らぐ
・眠りが良くなる
といった変化を感じる方が多いのも、こうしたつながりが背景にあります。
だからこそ、日常の小さな“ゆるめ時間”を大切にすることが、胃疲れ対策としてとても有効なのです。
この季節、私たちの身体は知らず知らずのうちに頑張りがちです。胃が重たい、なんとなく気分が沈む…そんなときは、まず身体を内側から温める習慣を取り入れてみましょう。
温かいお茶をゆっくりと楽しむことは、ただの水分補給以上の意味を持ちます。胃と心を同時に休ませてくれる時間になります。
食後5分10分ほど時間をおいて「消化の準備」の一杯、仕事や家事の合間に「休息ルーティン」の一杯、寝る前の「休むモードのスイッチ」の一杯。
ぜひ前回ご紹介した「胃と気分のつながり」の知識と合わせて、
冬のやさしいセルフケア習慣として取り入れてみてください。
詳細については各院受付にて!

みなさんこんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます!
年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか?長期休みで疲れが取れるかと思いきや、帰省で長時間の移動や宴会での暴飲暴食、久しぶりに会う親族との会話で気を遣ったり……何かとお疲れの方も多いように思います。
なんだか胃が疲れてくると、気分まで落ち込んでくるような感じがしませんか?
「胃が重たい日が続いてから、なんとなく気分も晴れない」
「食欲が落ちると、やる気や集中力まで下がる」
これは決して珍しい訴えではなく、鍼灸臨床の現場でも非常に多く見られます。以前のブログでも脳腸相関(brain–gut interaction)というワードを目にした方は多いかと思います。今回はもう少し掘り下げてお話させていただければと思います。
胃は単なる消化器官ではなく、感情・自律神経・ホルモン分泌と密接につながる臓器です。
胃疲れが続くと、気分や精神状態に影響が及ぶのは、自然な生理反応なのです。
胃と脳を結ぶ最大の神経は迷走神経です。
この神経の特徴は、約8割が「胃腸から脳へ情報を送る」役割を担っている点にあります。
つまり、
といった状態は、常に脳へ「不調の信号」として伝えられています。
脳はその信号を受け取ることで、
といった反応を引き起こしやすくなります。
セロトニンは、気分の安定や安心感に関与する神経伝達物質です。
実はその約90%が消化管で産生されています。
胃疲れが続くと、
が起こりやすくなり、結果としてセロトニン産生も低下します。
その結果、
こういった精神的な症状が出てきてしまいます。
これは「気持ちの問題」ではなく、身体の状態が崩れているサインです。
医学研究では、胃腸機能の低下が続くと、
炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)が増加することが示されています。
これらは血流を介して脳へ影響し、
を引き起こす要因となります。
つまり、
胃疲れ → 軽度の炎症 → 脳機能への影響
と波及して不調が引き起こされるのです。
胃の不調と気分の落ち込みが重なると、
「自分が弱いからでは?」と感じてしまう方も少なくありません。
しかし実際には、
身体の疲労が先にあり、心は後から影響を受けている
ということがほとんどです。
胃を整えることは、
ための重要な一歩です。
胃は、心身のバランスを映し出す非常に繊細な臓器です。
胃の不調が続くときは、身体と心の両方が疲れているサインかもしれません。
気分の落ち込みを感じたとき、
「心」だけでなく「胃」にも目を向けてみる。
それが回復への近道になることも少なくありません。
ぜひ参考にしてみてください。
みなさんこんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です!
10月の中旬から下旬にかけて急激に気温が下がり、体調を崩す方が増えてきましたね。空気の乾燥も進み、のどや皮膚の不調、冷えによる肩こりや腰痛など、冬に特有の体調変化が見られる季節です。みなさまはいかがお過ごしでしょうか?
インフルエンザ流行のピークは例年12月下旬〜翌年2月頃とされていますが、2025年は10月の時点でインフルエンザ疑いの方が9000人に上り、例年より早く流行が始まっています。また百日咳も増加傾向にあり、日本健康安全保障研究所(JIHS)の最新データによると、8月10日の時点で今年の症例数は64,467件と、2024年全体の15倍以上に達しました。
感染症や寒さによる不調を予防するためには、「冬の過ごし方=養生」がとても重要です。今回は、東洋医学の視点からみた「ためる季節」冬の過ごし方について詳しくご紹介します。
東洋医学では、季節と臓腑には深い関わりがあるとされます。春は肝、夏は心、秋は肺、そして冬は腎にあたります。腎とは単なる腎臓だけでなく、「生命エネルギーの根本(腎精)」を蓄える重要なシステムです。腎精は成長・発育・生殖・老化・免疫など、人間が生命を維持する為の根幹に関わります。
そして一年のサイクルをその季節ごとに一文字で表すと春は「生」、夏は「長」、秋は「収」、そして冬は「蔵(ぞう)」となります。春に植物が芽吹き生まれ、夏は青々と枝葉を伸ばし、秋には実った食物を収穫し、冬を越すために収穫した食物を貯蔵する。
つまり、冬はエネルギーを外に出すのではなく、「内に溜め、守る」ことが重要な時期と表現することが出来ます。
現代人の多くは、冷え・疲労・睡眠不足・ストレスなどによって、この「蔵」の働きが乱れがちです。慢性的な疲労感や冷え、むくみ、腰痛なども「腎虚(じんきょ)」という腎が弱っているサインです。
特に腰や下腹部を冷やすことは腎を傷める原因になります。腹巻き、レッグウォーマー、温かい飲み物などで体の中心を温めましょう。体を「冷やさないこと」は、冬の最大の予防です。
また、足湯や温灸などで「下半身を温め、上半身を緩める」ケアも効果的です。腎の経絡は足裏から腰まで走るため、足元を温めるだけでも全身の血流が改善し、自律神経のバランスも整いやすくなります。
『黄帝内経』には「冬は早く寝て、日が昇ってから起きる」と記されています。これは、自然のリズムに合わせてエネルギーを「蓄える」ことの重要性を説いた教えです。
特に冬は日照時間が短くなるため、メラトニンという睡眠へと導く作用を持つホルモンの分泌が早まります。これによって脈拍・体温・血圧などが低下し体が睡眠の準備を早く行ってしまうのです。冬場に眠気が強くなる方はこのケースが多いです。
そのため夜更かしやブルーライトの刺激によってメラトニンの分泌リズムを乱してしまうと、睡眠の質が低下し、免疫力や代謝が下がります。湯船に肩までつかることや照明の明るさを落とす、スマホをの使用を控えるなど、夜の「静」の時間を大切にしましょう。
就寝前のおすすめ習慣は、40度前後のお湯に10〜15分ゆっくり浸かって全身の血流を促し、副交感神経を優位することです。布団に入る1時間~2時間前の入浴は睡眠時に最適な体温に近付けるため、より上質な睡眠につながります。入浴後は白湯で体内を潤し、心身を温めてから布団へ入りましょう。
また、休日に寝だめをするのではなく、起床時間を一定に保つことも腎を守るポイントです。お休みの日でも普段の生活リズムを乱さず、整えることが「ためる力」につながります。
冬の食養生では、「温める」ことと「腎を補う」ことを意識しましょう。東洋医学で腎は「黒」と対応し、黒い食材は腎を助けるとされています。黒ごま・黒豆・ひじき・海苔・昆布・きくらげなどは、カリウムや鉄などのミネラル・食物繊維・抗酸化物質などが豊富にふくまれており、髪や骨、ホルモンバランスの維持にも役立ちます。
また、羊肉・鶏肉・生姜・にら・にんにく・ねぎなどの「陽性食材」は体を内側から温めてくれます。特に鍋料理は冬の理想的な食養生。根菜類や薬味を加えて、栄養と温かさを両立させましょう。
注意点として、唐辛子やにんにくを過剰に摂ると体内の「陰」を少なくしてしまい、のぼせや乾燥の原因になり、また胃腸の疲れにもつながる場合があります。体を温めてくれる印象の多い食物ですが、刺激物は冷え性の方でも控えめにし、体調に合わせた温め方を心がけましょう。
そして冬に不足しがちなのが「潤い」。大根・白菜・れんこん・白きくらげなど、水分を補う食材を取り入れることで、肌や粘膜の乾燥も防げます。温かいスープやお粥で「温と潤」を両立するのが理想です。
冬は自然界の動きが静まり、生命が内へ籠る季節です。人の心もまた、「静」を保つことが求められます。心が常に外に向かい、焦りや不安を感じる状態は、腎精を消耗させてしまいます。
心を整えるには、「ゆっくりする勇気」が必要です。読書・深呼吸・温かい飲み物を味わう・静かな音楽を聴くなど、五感を休ませる時間を持ちましょう。特に寝る前の10分間はデジタルデトックス(スマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスとの距離を置くこと)を行い、自分と向き合う穏やかな時間を作ることが、冬の養生になります。
また、東洋医学では「恐」は腎の感情とされます。過度な心配や恐れは腎を傷めます。意識的に安心感を持ち、「まあいいか」と受け流すことも、心の健康にとって大切なスキルです。
焦らず、ため込みすぎず、「今の自分を受け入れる」こと。それが春への準備になります。
冬は頑張る季節ではなく、「休む季節」です。外に向かうよりも、内側を整えること。これが春の健やかな芽吹きを生み出します。冷えを防ぎ、腎を養い、静けさを大切にすることが、東洋医学の「冬の智慧」です。
鍼灸や食養生を通して、自分の体の声を丁寧に聞く時間を持ってください。冬の静寂を味方につけることで、次の季節をより軽やかに迎える準備が整います。
今回のブログはいかがでしたでしょうか?もしもっと詳しく聞きたい、ここがわからない等ございましたら是非お気軽にスタッフまでお声がけください!
次回は経穴(ツボ)を用いたセルフケアについてお話させていただきますので、お読みいただけますと幸いです。
セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院 佐々木
みなさんこんにちは!セドナ整骨院 千葉駅前院の佐々木です。
前回に続き、今年6月に当院で行われた健康セミナーでご紹介させていただいたご自宅での心のセルフケアについてお話しいたします。
日々の生活の中で、私たちは気づかないうちに多くのストレス刺激にさらされています。
しかし、その「ストレス反応」は必ずしも悪者というわけではありません。私たちの身体が本来持っている“自分を守るための仕組み”なのです。
実践の前に、まずストレスによって起こる反応の種類をみていきましょう。セミナーでは3つの主要な反応を解説しました。
1.闘争・逃走反応
危険に直面したとき、心拍数が急激に上がり、血管が収縮して筋肉へ血流が集中する反応です。
瞬時に体を動かすためのエネルギーを引き出すもので、会議や試験、初めての場所での緊張などもこの反応にあたります。
特に適度な緊張は集中力を高め、私たちの能力を最大限に引き出してくれます。
2.チャレンジ反応
困難に立ち向かうときに生じる前向きなストレス反応です。心拍数は上がりますが、血管は収縮せず拡張するため、脳にしっかりと酸素が届きます。その結果、行動に完全に没頭し、時間を忘れて集中できる状態、いわゆる「ゾーン」に入る感覚が生まれます。スポーツ選手やアーティストにも多く見られる反応です。
3.思いやり・絆反応
強いストレスを感じると分泌される“オキシトシン(幸せホルモン)”によって、人とのつながりを求める気持ちが高まります。
そして誰かに相談したり、支え合ったりすることで、心身の回復が促進されます。
(つまり「一人で抱え込まない」ことが、ストレス対策として非常に効果的です。)
これらは本来、私たちを守り、能力を発揮させるためのシステムです。問題はこれらの「自分の体の反応をどう解釈するか」。例えば、心臓がドキドキしているときに「このまま倒れるかも」と恐れるか、「力を出す準備が整ってきた」と受け止めるか。この“認知の違い”が、体の働きやパフォーマンスを大きく左右します。
セミナーでは、この認知を変えるための実践トレーニングを体験していただきました。
ご自宅でも簡単にできる方法を、改めてご紹介します。
1.言語化トレーニング
今自分が感じている感情を声に出したり、紙に書いたりして「私は今緊張している」「私は今怖がっている」などと言葉で表現します。このように言語化することで自分が今どんな状況下に置かれているのか、今どんな感情を持っているのか客観視しやすくなり、脳が冷静さを取り戻すことが研究でわかっています。
2.ダブルインヘール
呼吸をする際に息を可能な限り深く吸い、吸い終わったあとでもう一段階深く吸い込みます。これは「ダブルインヘール」と呼ばれる呼吸法で、数回繰り返すだけで副交感神経が優位になり、心拍が整います。緊張時はとくに呼吸が浅くなりやすいため、夜寝付きが悪い時などぜひ試してみてください。
3.マインドフルネス瞑想
「今この瞬間」に意識を集中させ、過去や未来の不安から一時的に心を切り離す練習です。
静かな場所で目を閉じ、約5分間、自然な呼吸を繰り返します。
目は開いていても閉じていてもどちらでもよいです。呼吸や体の感覚に意識を向けるだけでも構いません。雑念が浮かんでも「今、考え事をしているな」と気づくだけでOK。無理に止めようとしないのがコツです。
ご紹介させていただいたセルフケアはどれも特別な道具や長い時間などは必要なく、自宅や職場でも簡単に取り入れられます。実際にセミナーに参加された方々からは
「最近寝付きの悪さが気になっていたけれど、マインドフルネス瞑想をやり始めてから寝付きが良くなった」
「仕事中ドキドキした時に試したら落ち着けた」
といった実感の声が多数寄せられました。このブログをお読みになっているみなさんもぜひお試しください!
またもし「ここがわからない」「どうやったらいいんだろう」など今回のブログ内容についての疑問、「このストレスにどうやって向き合ったらいいんだろう」などの日常生活でのご相談がございましたらスタッフへ気軽にお話くださいませ!
次回の健康セミナーは12月14日開催予定です。
テーマは『アンガーマネジメント・怒りとの付き合い方』
日頃、私たちは仕事や家庭、人間関係の中でさまざまな感情を抱えながら生活しています。うれしい、悲しい、不安、そして怒り、これらは誰もが持つ自然な心の反応です。しかし忙しい日常の中では、自分の感情にきちんと目を向ける時間が取れず、気付かないうちに体や心に大きな負担をかけてしまうことがあります。
当院では、こうした「感情と身体のつながり」を患者様ご自身に理解していただき、日々の健康管理にに役立つ知識とセルフケアを、実践形式でお届けします。
体のサインを学び、自分自身を守る力を一緒に身につけませんか?ぜひお誘い合わせのうえ、ご参加ください。
参考文献:
『Neuropsychologia』References:‘Flow state’ uncovered: We finally know what happens in the brain when you’re ‘in the zone’ | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo
スタンフォードのストレスを力に変える教科書:McGonigalKelly
みなさんこんにちは!セドナ整骨院千葉駅前院の佐々木です!
夏の暑さもようやくひと段落。朝晩冷える日が増えてきましたがいかがお過ごしでしょうか?
今回は6月に千葉駅前院で行われた”健康セミナー”の内容を一部抜粋してご紹介させていただきます!
※健康セミナーとは?
→1か月ごとにセドナ治療院グループの千葉駅前院、ユーカリが丘本院、八千代村上院、公津の杜院、浦安院の各5店舗で順番に行われている患者様向けの体についての勉強会です。
今回の題材は「ストレス」
「ストレスって、体に悪いと思いますか?」と問いかけられた時、多くの方が「もちろん悪いに決まっている」と感じるかと思います。肩こり、頭痛、胃の不調、血圧の上昇。日常の中でストレスを感じると、私たちはすぐに体の不調と結び付けてしまいます。しかし、今回のブログで皆さんにお伝えしたいことは、ストレスは必ずしも“悪者”ではないという意外な事実です。
米国で3万人を対象に行われた大規模調査では、ストレスを強く感じている人の中でも「ストレスは体に害がある」と信じている人ほど死亡リスクが高く、一方で「ストレスは自分を成長させるもの」と前向きに捉えている人では死亡リスクが低いという結果が報告されています。つまり、ストレスそのものよりもストレスに対する認知が健康を左右する、ということが科学的に示されているのです。
私たちが緊張したときに心拍数が上がったり呼吸が速くなったりするのは、体が危険に備えてエネルギーを供給しているサイン。これは「闘争・逃走反応」と呼ばれ、生命を守るために必要な生理現象です。本来は遥か昔、原始時代に敵から逃げるために発達した反応ですが、現代ではプレゼンや試験、人間関係など社会的ストレスにおいてこのような反応が起こります。
ここで重要なのが「認知の再構成」という考え方です。このような反応が起こった時、例えば心拍数が上がったとき、「もしかしたら心臓に病気があるのかも」など不安にとらえるとストレスホルモンが過剰に分泌され、血管が収縮して体に負担がかかります。逆に「これは体が力を発揮するための準備だ」と捉えることが出来ると、血管が拡張し、同じ緊張でも体へのダメージが少なくなることが分かっています。
このようにストレスを味方につけた実例として、トップアスリートの方々を想像してみましょう。オリンピック選手や舞台俳優は、大舞台の直前、もしくは最中に必ず緊張を感じます。しかし彼らはその緊張を「失敗するかもしれない不安な状態」ではなく「最高のパフォーマンスを出すための状態」と捉えています。そのため極度の緊張状態の中でもいつも通りのパフォーマンスを発揮し、集中力を途切れさせない状態を維持できるのです。
このように、ストレスを単なる“敵”ではなく“味方”に変える視点は、私たちの日常でも活用できます。仕事、子育て、人間関係など、緊張する場面こそ「体がストレスに対応するための準備をしてくれている」と意識するだけで、日常生活での体、そして精神面への負担が軽減されます。
健康セミナーではこうした最新の知見をわかりやすく解説しながら、日常生活に活かすための思考の変換のヒントや簡単なセルフケアを実際に体験していただきました。
次回のブログでは健康セミナーで行われたセルフケアについての内容をご紹介させていただきますのでお読みいただけますと幸いです!

※6月の健康セミナー開催時の告知ポスターです!
セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院 佐々木
参考文献:スタンフォードのストレスを力に変える教科書:McGonigalKelly
こんにちは!セドナ整骨院千葉駅前院の佐々木です。
今回は「期外収縮と鍼灸の関わり」についてお話させていただきます。
最後までお付き合い頂けますと幸いです。
前回、期外収縮の概要についてお話しさせていただき、その中で注意すべき期外収縮とそうでないもの、また原因についてもご紹介しましたが、原因の1つとして「精神的なストレスや疲れ」があげられていたことを覚えていますでしょうか?
鍼灸治療において最も注目すべき効果として、この「精神的なストレスや疲れ」にアプローチすることが出来るのです。
鍼灸治療は、自律神経の調整や血流の改善、炎症の抑制などを通じてさまざまな疾患の管理に役立つと考えられています。近年、心血管疾患に対する補完代替医療としての可能性が注目されており、期外収縮に対する効果についても研究が進められています。
一体鍼灸が体にどのような影響を与えて、期外収縮に効果をもたらすのか見ていきましょう。
◎東洋医学的観点から見た期外収縮
前回お話しさせていただいたように西洋医学では、期外収縮は心臓の異常な電気信号によって引き起こされる不整脈の一種とされ、自律神経のバランスや電解質異常、心血管疾患、ストレスなどが発生要因とされています。
一方、東洋医学では、期外収縮のような不整脈を「結脈」「代脈」という呼び方をします。この2つの呼び方の違いは以下の通りです。
結脈 ゆるやかな脈で、時々止まる。主に陰寒や積滞内阻による。不正脈。
代脈 ゆるやかで時々止まるのは結脈と同じだが、止まるのに定まった規則性がある。臓気の衰退。
東洋医学では気や血の不足や滞り、陰陽のバランスの乱れが主な原因であると考えられます。心臓の働きは「心(しん)」という概念に基づき、全身の血流を管理する役割を持つとされています。「心」の機能が正常であれば血液はスムーズに流れますが、気血の不足や停滞、陰陽のバランスの崩れによって心拍が乱れ、期外収縮のような不整脈が生じると考えられます。
具体的な例を見てみましょう。
・気虚・血虚(心気虚、心血虚)
心気(しんき)は心臓を動かすエネルギー、心血(しんけつ)は心臓の働きを維持する栄養源とされ、これらが不足すると心臓の活動が不安定になり、不整脈が起こりやすくなります。
主な症状:疲労感、息切れ、めまい、不眠、顔色の蒼白、冷え性
・瘀血(おけつ)
血流の停滞があると、心臓への血流供給が悪化し、不整脈が発生しやすくなります。特に、動悸や胸の圧迫感を伴う場合、瘀血の影響が考えられます。
主な症状:胸の圧迫感、刺すような痛み、舌の色が暗紫色、顔色のくすみ
・気滞(きたい)
ストレスや精神的な負担が続くと、気の巡りが滞り、自律神経の乱れを引き起こして期外収縮が生じることがあります。
主な症状:ため息が多い、胸の張り感、不安感、イライラ、便秘や腹部の張り
・陰虚(いんきょ)
体内の陰液(血や津液)が不足すると、心火(しんか)が過剰になり、不整脈が発生しやすくなります。特に、夜間に期外収縮が悪化する場合は、陰虚の影響が考えられます。
主な症状:寝汗、口の渇き、ほてり、不眠、動悸、舌の色が紅い
◎鍼灸治療による効果
東洋医学的観点から見た期外収縮についてお話しさせて頂いたところで、次に鍼灸治療が体に与える効果についてご紹介していきます。
・自律神経の調整
期外収縮の発生には、自律神経のバランスが深く関与しています。自律神経は交感神経と副交感神経の2系統に分かれており、簡潔に役割を説明すると交感神経は戦闘モード、副交感神経は休憩モードといったようにそれぞれ担当しています。また交感神経はストレスを感じた際にも作動し、交感神経が優位になると心筋の興奮性が高まり、不整脈が生じやすくなります。
そのため鍼灸は副交感神経を優位にすることで自律神経のバランスを整え、心拍の安定化、またストレスに対する反応に作用するとされています。とある研究では心拍変動(HRV)を改善し、心拍の乱れを抑制する効果があるとの報告もされています。
・炎症の抑制
一説では慢性的な炎症や酸化ストレスが心筋の異常な興奮に関与していると考えられています。研究によると、鍼灸は炎症マーカーであるC反応性タンパク(CRP)やインターロイキン-6(IL-6)の低下に作用し、不整脈の発生を抑える可能性が示唆されています。
・血流の改善
鍼灸は血流を改善し、心筋への酸素供給を安定させることで不整脈を防ぐ効果が期待されます。
鍼灸治療のメカニズムについては当HPの右側の欄の「一般施術」→「鍼灸治療」から詳しい説明を見ることができますのでご興味がございましたら是非ご覧ください!
今回は「期外収縮と鍼灸の関わり」についてお話させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
次回は「期外収縮に対する鍼灸治療における臨床研究」についてお話させていただきます!
最後までお付き合いいただけますと幸いです。
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木
こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今回は「IBS(過敏性腸症候群)に対する鍼灸治療の効果と効能、使われる経穴」「セルフケア」についてお話させて頂きます。また、最後に今月更新分のブログに用いた参考文献を記載しますのでご参考までに。
◎使用される経穴
前回はIBSに対する鍼灸治療の臨床研究についてお話させていただきましたので、その中で出てきた経穴、またそのほか消化器系に作用する経穴の場所と作用についてご紹介していきます。
・足三里(あしさんり)
位置: 膝の下にある外側の窪みから指4本下、脛骨の外側
効果: かの有名な伊能忠敬さんもお灸を据えていたと言われている胃腸機能を整える代表的な経穴で、胃腸の働きを整え腹部膨満感を軽減します。
・合谷(ごうこく)
位置: 手の甲、親指と人差し指の骨が交わるところ
効果: 自律神経の働きを整える際に用いられる代表的な経穴です。それに伴い消化器の症状やストレスを緩和する効果が期待できます。
・太衝(たいしょう)
位置: 足の甲、第1趾(親指)と第2趾(人差し指)の間のくぼみ
効果: 血流の改善、筋肉の緊張やストレスの緩和、肝(ストレスからの影響を最も受けやすい五臓六腑)の気を調整し、全身のエネルギーの巡りをよくする。
・内関(ないかん)
位置: 手首の中央から指3本分上(肘側)
効果: ストレスや不安を和らげ、消化器の症状の緩和や自律神経を調整する作用があります。それに伴い睡眠の質の向上も期待できます。
・百会(ひゃくえ)
位置: 頭のてっぺん、両耳を結んだ線と正中線の交点
効果: 副交感神経を活性化し、自律神経のバランスを整える効果があります。精神を落ち着かせる作用に加え、血流促進による全身の代謝機能向上が期待されます。
・天枢(てんすう)
位置: 臍から指3本外側(左右)
効果: 消化機能の調整に使われる代表的な経穴です。
・公孫(こうそん)
位置: 足の親指の付け根のふくらみから指で骨をなぞっていき、指が止まる部分(凹んだ部分)
効果: 胃腸機能の改善や腹痛の緩和が期待できます。
・上巨虚(じょうこきょ)
位置: 足三里から指4本分下
効果: 消化機能の調整、自律神経のバランス改善、腸の運動機能の正常化が期待できます。
・神門(しんもん)
位置: 手首にあるしわを指で小指側に軽くなでていき骨(豆状骨)の出っ張りの手前で指が止まる部分
効果: 不眠やイライラなど心の安定やストレス緩和に使われる代表的な経穴です。
・関元(かんげん)
位置: 臍から指4本下
効果: 下腹部の気血を整え、内臓機能を改善する効果や、自律神経のバランスを整え、ストレス緩和が期待できます。
・中脘(ちゅうかん)
位置: 臍から指4本上
効果: 「胃の中央」という意味からこの名前が付けられた経穴で、腸の運動や消化吸収を調整する効果が期待できます。
・腎兪(じんゆ)
位置: 第2腰椎から指2本外側
効果: 全身のエネルギーの流れを整える際に使われる経穴です。腰痛にも効果◎
・脾兪(ひゆ)
位置: 第11胸椎と第12胸椎の間の高さから指2本外側
効果: 内臓機能の改善に使われる代表的な経穴です。腰痛にも効果◎
・壇中(だんちゅう)
位置: 胸の中心、乳頭を結んだ線の中央
効果: 心臓のちょうど前面にあたる経穴です。呼吸を整え心を落ち着ける作用があり、ストレス緩和にも効果的です。
・三陰交(さんいんこう)
位置: 足首の内側、内くるぶしから指4本上
効果: 下肢の血流改善効果が期待でき、冷えなどの刺激から起こる消化器症状の予防に役立ちます。
◎セルフケア
次に食養生の観点からセルフケアについてお話させていただきます。
・スパイス
冷え性を伴う便秘や停滞腸に効果的な作用を持つ、体を温めてくれるスパイスや、胃腸の働きを高めてくれる作用を持つものをご紹介していきます。
ジンジャー、ペパーミント、シナモン、ターメリック、クローブ、コリアンダー、ローリエ、サフラン など
※症状悪化の原因となる場合がありますので適量の摂取を心掛け、決して過剰摂取にならないようご注意ください
・消化の良い食物
脂っぽいものや過度に食物繊維の多いもの、人工甘味料が多量に使われたもの、蕎麦やコーヒーなど、身体に悪影響を及ぼす食物は想像に容易いですが、その逆はなかなか想像しにくい方が多いのではないでしょうか?一例として以下に消化の良い食物をあげていきます。体質などにより個人差があるため、あくまで参考としてご活用ください。自分に合った食生活を見つける一助となれましたら幸いです。
植物油、脂肪分の少ない魚(かれい、たら、たい、ひらめ、すずきなど)、脂肪分の少ない肉(ソーセージなどの加工肉を除くヒレ肉類、鶏肉など)、白身魚、煮野菜(かぶ、にんじん、大根、カリフラワー、キャベツ、ほうれん草など)、白湯、麦茶、みそ汁やスープ(海藻類は避け、消化に良い具を使いましょう)、たまご、やまいも、きな粉 など
◎参考文献
Liu, X., et al. (2018). Effects of acupuncture on blood glucose in type 2 diabetes mellitus patients: A randomized controlled trial. Journal of Diabetes Research.
Sun, Y., et al. (2019). Acupuncture for diabetic peripheral neuropathy: A clinical study. Pain Medicine.
Zhao, L., et al. (2021). Systematic review and meta-analysis of acupuncture for diabetes. Complementary Therapies in Medicine.
Kim, T. H., et al. (2020). “Acupuncture for the treatment of diabetes mellitus: A systematic review and meta-analysis.”
Diabetes Research and Clinical Practice, 159, 107982. Cho, W. C., & Chen, H. Y. (2009). “Clinical efficacy of acupuncture on diabetes mellitus: A meta-analysis.”
Journal of Acupuncture and Meridian Studies, 2(4), 263–265.
Lee, M. S., et al. (2009). “Acupuncture for treating peripheral diabetic neuropathy: A systematic review.”
The Clinical Journal of Pain, 25(5), 431–437. International Diabetes Federation (2021). IDF Diabetes Atlas (10th Edition).
中国中医科学院. (2015). 鍼灸学概論. 北京科学技術出版社.
日本糖尿病学会
厚生労働省
国際糖尿病連合(IDF)
アメリカ糖尿病学会(ADA)
日本医師会「生活習慣病予防と糖尿病」 日本糖尿病学会編『糖尿病治療ガイドライン 2023』(文光堂)
WHO(世界保健機関)
Standards of Medical Care in Diabetes – 2024.Diabetes Care. 国立研究開発法人国立国際医療研究センター『糖尿病の基礎知識』
松生恒夫『「腸ストレス」を取り去る習慣』
◎最後に
鍼灸治療は補完療法として非常に有望な選択肢ですが、個々の患者に合わせた適切な診断と施術が求められます。また、鍼灸治療は現段階ではあくまで補助療法的な位置づけにあり、薬物療法や食事療法と組み合わせて活用することが重要です(重症度があがれば上がる程、これに該当します)
専門家との連携を取りながら、西洋医学と東洋医学を融合させより効果的な治療を目指していきましょう。
今週も読んで下さりありがとうございました。 今回は「鍼灸治療の効果と効能、使われる経穴」「参考文献」「セルフケア」についてお話させて頂きました。
IBS(過敏性腸症候群)についてのシリーズは一度ここで区切りとなりますが、今月のブログはいかがでしたでしょうか?
もしここについて掘り下げて欲しい等ご要望があれば是非お聞かせください!
来月からはまた新しい題材でブログを更新していきますので、お読みいただけますと幸いです。
今週も読んで下さりありがとうございました。
セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院 佐々木
こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今回は「IBS(過敏性腸症候群)に対する鍼灸治療における臨床研究、またそのレビュー」についてお話させていただきます。
最後までお付き合い頂けますと幸いです。
◎ IBS(過敏性腸症候群)に対する鍼灸治療における臨床研究、またそのレビュー
IBSの治療は薬物療法や生活指導を中心として行われますが、近年、補完医療として鍼灸治療が注目されています。
以前のブログで過敏性腸症候群(IBS)は、便通異常(下痢、便秘、あるいはその両方)を主な症状とした腹痛や腹部不快感を伴う慢性的な消化管疾患であること、脳と腸の密接な関係、またそれに伴って身体的な側面のみならず、精神的な側面にも影響を及ぼすことについてお話させて頂きました。
今回は自律神経系、また内分泌系への鍼灸の作用に焦点を当て、IBSに対するそれぞれの臨床研究をみていきましょう。
まず前置きとして用語について解説しておきます。
・試験方法について
鍼灸の効果を評価する為にランダム化比較試験(RCT)や準ランダム化比較試験(CCT)などの試験方法を用いた研究が広く世界で実施されています。
ランダム化比較試験(RCT)・準ランダム化比較試験(CCT)とは、個人の背景因子の偏り(交絡因子)をできるだけ小さくし、ある試験的操作を行うこと以外は公平になるように対象の集団を無作為に複数の群に分け、その試験的操作の影響と効果を測定し、明らかにするための比較研究です。薬物や治療法を適正に評価するための方法として、よく採用される試験方法です。
・メタアナリシスとは
メタアナリシス研究とは、前述したランダム化比較試験(RCT)など複数の原著論文のデータを定量的に結合させる統計学的研究手法です。ひとつひとつの研究の結果が矛盾している場合でも、たくさんの研究結果を解析することで、より総合的な評価をすることができます。
◎IBSに対する鍼灸治療の臨床研究
研究例1:Wang et al.(2020年)の研究では、IBS患者120名を対象に、鍼治療が症状改善に及ぼす影響を調査しました。この研究では以下のようなグループ分けと施術が行われました。
治療群:
主要な経穴(天枢、大腸兪、足三里など)を対象に週3回、計8週間の鍼治療を実施。
対照群:
偽鍼(皮膚に針を刺さない治療)を使用。
治療終了後、治療群ではIBS症状重症度スコア(IBS-SSS)による腹痛スコアや主観的な生活の質(QOL)が大幅に改善し、症状の再発率も低下しました。一方、対照群では有意な変化が見られませんでした。この結果から、鍼治療はIBS症状の緩和に有効である可能性が示唆されました。
研究例2:Zhao et al.(2019年)は、鍼灸がIBS患者の自律神経機能に与える影響を研究しました。IBSは脳腸相関の乱れが発症の一因とされており、自律神経系へのアプローチが重要視されています。研究では、特定の経穴(内関、足三里、関元)への鍼刺激が迷走神経を活性化し、交感神経と副交感神経のバランスを整えることで、腹痛や不安感が軽減されることが確認されました。
◎システマティックレビューとメタアナリシス
複数の臨床研究を統合的に分析したレビューやメタアナリシスも進められています。
Sun et al.(2021年)は、IBS患者を対象とした15件のRCTを分析し、以下の結果を報告しました。
主要な成果:
鍼灸治療を受けた群では、腹痛や便通異常の改善が対照群と比較して有意に高いことが確認されました。また、患者のQOLスコアも向上しました。
限界点:
偽鍼を用いた研究の不足やサンプルサイズのばらつきが、エビデンスの強度を制限する要因とされました。
・鍼灸がIBSに与える長期的効果
Lin et al.(2022年)のレビューでは、鍼灸の治療効果が短期的な症状緩和に留まらず、継続的な施術により症状の再発率が低下する可能性が示唆されています。特に、副腎皮質ホルモンやセロトニンの調節作用がIBSの慢性症状改善に寄与するメカニズムとして挙げられています。
◎鍼灸の生理学的メカニズム
鍼灸がIBS症状を改善する可能性があるメカニズムは、以下のように考えられています。
・脳腸相関の調整
鍼灸を用いた施術によって迷走神経や中枢神経系を刺激することで、腸管運動を正常化し、腸内環境の安定化を図ります。
・抗炎症作用
IBSでは腸粘膜の軽度な炎症が観察されることがあり、鍼灸が炎症性サイトカイン(例:IL-6やTNF-αなど)の産生を抑制することで、炎症を軽減する効果が期待されています。
・心理的ストレスの軽減
IBSはストレスが引き金となることが多く、鍼灸によるリラクゼーション効果がストレスホルモン(コルチゾール)の低下をもたらすことで、症状の緩和が図られると考えられています。
IBSに対する鍼灸治療は、症状緩和やQOLの向上に有効であることが臨床研究やレビューから示されています。特に、自律神経系への作用や抗炎症効果、心理的ストレスの軽減といった多面的な効果が注目されています。しかし、研究デザインや標準化の課題が残されており、今後のさらなる研究が期待されます。IBS患者の治療選択肢を広げるために、鍼灸が補完医療の一つとして確立される日が近づくことを願っています。
また、鍼灸治療は現段階ではあくまで補助療法的な位置づけにあり、薬物療法や食事療法と組み合わせて活用することが重要です。(重症度があがれば上がる程、これに該当します)
専門家との連携を取りながら、西洋医学と東洋医学を融合させより効果的な治療を目指していきましょう。
今週もお読み下さりありがとうございました。 今回は「IBS(過敏性腸症候群)に対する鍼灸治療における臨床研究とそのレビュー」についてお話させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
鍼灸は肩こりや腰痛など、筋肉に対してのアプローチが得意だというイメージをお持ちの方は今回の内容を少し意外に感じられたのではないでしょうか。鍼灸が得意とする自律神経へのアプローチは、刺激を介して内臓、ホルモン系へ作用することが出来ます。こちらを踏まえ、次回は「鍼灸治療の効果と効能、使われる経穴」に関してお話させて頂きます。セルフケアについても触れていきますので、診断までとはいかずとも消化器系のお悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木
こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今回は「IBS(過敏性腸症候群)と心の繋がり、脳腸相関」についてお話させていただきます。
前回の内容を踏まえ、中でも原因の一つであるストレスと脳腸相関の関係について掘り下げていきますので、もし前回の内容をお読みになっていない方は是非ご覧になってからこちらをお読みください。
最後までお付き合い頂けますと幸いです。
◎ IBS(過敏性腸症候群)と心の繋がり、脳腸相関
IBSにおいて特に注目すべき点は、IBSが心と体の両方に影響を及ぼす疾患であるということです。これを理解するために、脳と腸がどのように関わり合っているのかを今回はお話していきます。
前置きとして前回の内容を引用させて頂きますが特に症状による精神面への影響は計り知れません。
IBSは、身体的な不快感だけでなく、「また症状が出るのではないか」という不安が常に心の中に蔓延り、生活の質(QOL)を招いてしまいます。これにより、以下のような影響が見られます。
・社会活動や外出への恐怖感
・仕事や学業への集中力の低下
・抑うつや不安障害の併発
これらの心理的要因がさらに症状を悪化させ、症状に対するストレスが更に症状の悪化を引き起こすという悪循環が生まれてしまいます。
症状改善の為には多面的なアプローチと包括的なケアが必要とされます。腸の過敏性の改善を目指した治療が主流ですが、心理的なサポートや腸内環境を整えることも欠かせません。
・脳腸相関
前述の通りIBSは患者へ大きなストレスを与えます。そしてそのストレスは脳、そして体全体にも影響を及ぼしているのです。
脳と腸は深い関係にあり、腸は「第二の脳」と呼ばれることがあります。実際、腸には「腸管神経系(ENS: Enteric Nervous System)」という独自の神経ネットワークが存在し、脳と密接に連絡を取り合い、情報共有を行っています。このつながりは「脳腸相関」と呼ばれ、腸が単なる消化器官以上の役割を果たしていることを示しています。
たとえば、ストレスを感じたときにお腹が痛くなったり、緊張でトイレが近くなったりするのは、脳腸相関の一例です。これは脳が自律神経を介して腸にストレスを受けたという刺激を伝えるからです。逆に、腸に病原菌が感染すると、脳で不安感が増すとの報告もあるそうです。
IBSでは、この脳腸相関のバランスやその仲介役となっている自律神経のバランスが崩れることで、症状が引き起こされると考えられています。そしてこれらのバランスを崩してしまう大きな原因の一つとして ストレス があげられます。ストレスが及ぼす脳への悪影響の一例として、ストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌や幸せホルモン(セロトニン等)の分泌低下があげられます。特に幸せホルモンの分泌低下は精神面への影響が大きく、気分の落ち込みや何かしようとする意欲の低下、自己肯定感の低下などがあげられます。
セロトニン不足への対応策としては
・栄養バランスの良い食事
・セロトニンの合成に必要な必須アミノ酸であるトリプトファンを含む食品の摂取
・日光浴
・良質な睡眠
・適度な運動
などがあげられますが運動は特に効果的とされており、有酸素運動やリズム運動はその中でも有効性が高いです。2024年10月に更新しましたブログ「鍼灸と月経前症候群(PMS)④」の中で詳しくご紹介させていただいておりますので、併せてお読みいただけますと幸いです。
・腸内環境
腸内環境について前回も少しお話させて頂きましたが、実は腸内環境は脳腸相関に深く関わっています。腸内細菌叢(腸内フローラ)が乱れてしまうと、脳腸相関によって腸から脳へ悪い影響を与える可能性があります。短鎖脂肪酸の減少や便秘や下痢などの消化器系の症状の他、肌荒れやアレルギー、慢性的な身体の不調、うつ症状など全身へ影響を及ぼします。
そのため、IBSの治療には、腸内環境を整えることも重要とされています。
◎IBSと生活の質(QOL)
IBSが患者の生活に与える影響は非常に大きいです。腹痛や便通異常といった身体的症状だけでなく、日常生活や社会活動においても多くの制約が生じます。 前回少しお話させて頂きましたが、具体的にどういったケースがあるのか見ていきましょう。
1. 仕事や学業への影響
突発的な腹痛や下痢のために、外出が不安になったり、会議や授業など日常生活で必要なことに集中できなくなることがあります。また、頻繁なトイレの使用自体がストレスとなることも少なくありません。
2. 対人関係への影響
外食や旅行など、社会的な活動を楽しむことが難しくなる場合があります。外見からわからない分周囲の理解を得にくい疾患であることから、孤独感を感じる方も多いとされています。
3. 心理的負担
IBSの症状が慢性的に続くと、「また症状が出るかもしれない」という不安や抑うつ状態に陥ることがあります。このような心理的要因がさらに症状を悪化させるという悪循環も、IBSの特徴の一つです。
月末のブログではこれらに対するセルフケアについて取り扱う予定ですので、そうぞお付き合いください。
今週もお読み下さりありがとうございました。
今回は「IBS(過敏性腸症候群)と心の繋がり、脳腸相関」についてお話させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
次回は「IBS(過敏性腸症候群)に対する鍼灸治療における臨床研究、またそのレビュー」についてお話させていただきます!
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木
こんにちは。セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今月のブログの題材である「PMS」と、当セドナ治療院グループの理念にもあります「自律神経」は非常に相関関係が強いため、こちらもとりあげてお話させて頂きたいと思います。
しかし、まずそもそも自律神経とは何なのでしょうか?最近テレビや日常会話等でも話題に上ることが増え、日常的にもストレスや疲れを感じたとき、「自律神経が乱れている」と言われることも増えましたよね。
ですが自律神経について曖昧なイメージを持っている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?そこでまず最初に自律神経について簡単にお話させて頂きたいと思います。
自律神経とは「交感神経」と「副交感神経」という二系統で構成されており、代謝や循環、呼吸、消化など、私達が生命維持を行う上で必要不可欠な身体の様々な機能を無意識的に調整しています。
そして交感神経と副交感神経は互いに反対の作用を持ち、そのバランスを保つことで体内の恒常性、つまり生物が外部環境の変化に関わらず、血圧や血糖値、pHなどの体内の状態を一定に保とうとする仕組みを維持しています。
交感神経の働き
交感神経は「闘争か逃走(fight or flight)」反応を司る神経系です。体がストレスに直面したときや急を要する様な緊急時に活性化し、それらに対して迅速に対応ができるようエネルギーを最大限に引き出す方向に働きます。
交感神経が優位になると筋肉や臓器に酸素や栄養を素早く供給するために心拍数と血圧が上昇し、反対に消化管の活動は一時的に抑えられ、胃の動きや唾液の分泌が減少し、消化が遅くなります。また酸素を多く取り込むために気管支を拡張させ、周囲の危険をより早く察知するために瞳孔を拡大させます。副腎からはアドレナリンが分泌され、興奮状態の促進や交感神経の作用の強化、持続を行います。
学校や会社、もしくはプライベートでも、話を聞かずぼーっとしている時にいきなり名前を呼ばれ「君はどう思う?」等と意見を聞かれた時、ドキッとした経験はありませんか?もしくは怖い夢をみてはっと目を覚ました時、緊張する発表会の時、ゲームでクリア目前の時など、交感神経はそういった体がストレスを感じたときや運動、興奮などによって必要なときに迅速に反応し、体を活動モードに導きます。
副交感神経の働き
副交感神経は、交感神経とは対照的に「休息と消化(rest and digest)」を担当する神経系です。体がリラックスしているときや安静状態にあるときに主に活性化し、副交感神経が優位になることで体は回復やエネルギーの蓄積など、いつ交感神経が優位になって闘い始めても良いように備える働きをします。
副交感神経が優位になると、胃や腸の運動が活発化し、消化液の分泌が増加します。これにより、食べ物の消化と栄養の吸収が促進されます。反対に心拍数は緩やかになり、血圧も低下します。これにより、体はリラックスした状態になり、筋肉など使わない臓器へのエネルギーを節約し、蓄えることができます。体が休息状態にあるときに必要な酸素量が少なくなるため、気道はやや収縮し、呼吸は深くゆっくりとしたものになります。明るい環境下での目の負担を軽減させるために瞳孔は縮小され、近くの物を見る際にはピントが合わせやすくなります。
そして副交感神経の働きにおいて何よりも重要なのは心身の回復です。副交感神経はエネルギーの節約と心身の回復を促進します。食事の後や眠る前など、体が修復や成長、回復に集中できるよう、全身の機能を調整する役割を担っています。
鍼灸院や整骨院などでの施術の最中、眠気を感じたり、お腹が鳴ったり、トイレに行きたくなったりしたことはありませんか?そう、これらの反応はすべて副交感神経が働いている証拠なのです。こういった反応が出ているときはきちんと担当の先生やその院を信頼し、リラックスできているため緊張状態のときよりも治療効果が高いです。
このように交感神経と副交感神経は、互いに相反する働きをしながらも、常にバランスを保っています。このバランスが乱れると、身体的・精神的な健康に影響を及ぼす可能性があります。
そして、PMSの発症には、ホルモンバランスとともに自律神経のバランスの乱れが影響していると広く考えられています。何かしらのストレスを受けて自律神経が乱れ、交感神経が過剰に働くと、神経が収縮し血流が悪化します。これが頭痛や肩こり、腰痛などの身体的な症状の原因です。
副交感神経が抑制されると消化器系の機能が低下し、腹部膨満感や便秘などの消化器症状が現れることもあります。また前述したストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が増加し、緊張や不安が増加し、これがPMSにおける精神的な症状、例えばやイライラ感やうつ状態を引き起こす原因の一つとされています。施術により狙うべきは副交感神経の活動促進でリラクゼーション効果を促す事です。これにより、筋肉の緊張や痛みが軽減されるだけでなく、身体と精神両方の症状に対して総合的な効果を発揮することが期待されます。
実際の臨床の現場でも鍼灸治療がPMSに対してどのような効果をもたらしたかについても、かなりの数の症例報告・ケースレポートが発表されています。例えば、ある症例では、鍼灸治療を数ヶ月間継続した女性が、PMSの頭痛の大幅な改善を報告しています。イライラや不安感などの精神的な症状も軽減し、生活の質が向上したとされています。
今週も読んで下さりありがとうございました。
来週は、、、「PMSによく使われる経穴(ツボ)」についてお話させて頂きます。
セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木