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鍼灸とIBS(過敏性腸症候群)④

2025.01.27 | Category: 東洋医学,自律神経,鍼灸

こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です。
今回は「IBS(過敏性腸症候群)に対する鍼灸治療の効果と効能、使われる経穴」「セルフケア」についてお話させて頂きます。また、最後に今月更新分のブログに用いた参考文献を記載しますのでご参考までに。
 
◎使用される経穴
前回はIBSに対する鍼灸治療の臨床研究についてお話させていただきましたので、その中で出てきた経穴、またそのほか消化器系に作用する経穴の場所と作用についてご紹介していきます。

・足三里(あしさんり)
位置: 膝の下にある外側の窪みから指4本下、脛骨の外側
効果: かの有名な伊能忠敬さんもお灸を据えていたと言われている胃腸機能を整える代表的な経穴で、胃腸の働きを整え腹部膨満感を軽減します。

・合谷(ごうこく)
位置: 手の甲、親指と人差し指の骨が交わるところ
効果: 自律神経の働きを整える際に用いられる代表的な経穴です。それに伴い消化器の症状やストレスを緩和する効果が期待できます。

・太衝(たいしょう)
位置: 足の甲、第1趾(親指)と第2趾(人差し指)の間のくぼみ
効果: 血流の改善、筋肉の緊張やストレスの緩和、肝(ストレスからの影響を最も受けやすい五臓六腑)の気を調整し、全身のエネルギーの巡りをよくする。

・内関(ないかん)
位置: 手首の中央から指3本分上(肘側)
効果: ストレスや不安を和らげ、消化器の症状の緩和や自律神経を調整する作用があります。それに伴い睡眠の質の向上も期待できます。

・百会(ひゃくえ)
位置: 頭のてっぺん、両耳を結んだ線と正中線の交点
効果: 副交感神経を活性化し、自律神経のバランスを整える効果があります。精神を落ち着かせる作用に加え、血流促進による全身の代謝機能向上が期待されます。

・天枢(てんすう)
位置: 臍から指3本外側(左右)
効果: 消化機能の調整に使われる代表的な経穴です。

・公孫(こうそん)
位置: 足の親指の付け根のふくらみから指で骨をなぞっていき、指が止まる部分(凹んだ部分)
効果: 胃腸機能の改善や腹痛の緩和が期待できます。

・上巨虚(じょうこきょ)
位置: 足三里から指4本分下
効果: 消化機能の調整、自律神経のバランス改善、腸の運動機能の正常化が期待できます。

・神門(しんもん)
位置: 手首にあるしわを指で小指側に軽くなでていき骨(豆状骨)の出っ張りの手前で指が止まる部分
効果: 不眠やイライラなど心の安定やストレス緩和に使われる代表的な経穴です。

・関元(かんげん)
位置: 臍から指4本下
効果: 下腹部の気血を整え、内臓機能を改善する効果や、自律神経のバランスを整え、ストレス緩和が期待できます。
 
・中脘(ちゅうかん)
位置: 臍から指4本上
効果: 「胃の中央」という意味からこの名前が付けられた経穴で、腸の運動や消化吸収を調整する効果が期待できます。
 
 ・腎兪(じんゆ)
位置: 第2腰椎から指2本外側
効果: 全身のエネルギーの流れを整える際に使われる経穴です。腰痛にも効果◎

・脾兪(ひゆ)
位置: 第11胸椎と第12胸椎の間の高さから指2本外側
効果: 内臓機能の改善に使われる代表的な経穴です。腰痛にも効果◎

・壇中(だんちゅう)
位置: 胸の中心、乳頭を結んだ線の中央
効果: 心臓のちょうど前面にあたる経穴です。呼吸を整え心を落ち着ける作用があり、ストレス緩和にも効果的です。

・三陰交(さんいんこう)
位置: 足首の内側、内くるぶしから指4本上
効果: 下肢の血流改善効果が期待でき、冷えなどの刺激から起こる消化器症状の予防に役立ちます。

 
◎セルフケア
次に食養生の観点からセルフケアについてお話させていただきます。

・スパイス
冷え性を伴う便秘や停滞腸に効果的な作用を持つ、体を温めてくれるスパイスや、胃腸の働きを高めてくれる作用を持つものをご紹介していきます。

ジンジャー、ペパーミント、シナモン、ターメリック、クローブ、コリアンダー、ローリエ、サフラン など

※症状悪化の原因となる場合がありますので適量の摂取を心掛け、決して過剰摂取にならないようご注意ください

 

・消化の良い食物
脂っぽいものや過度に食物繊維の多いもの、人工甘味料が多量に使われたもの、蕎麦やコーヒーなど、身体に悪影響を及ぼす食物は想像に容易いですが、その逆はなかなか想像しにくい方が多いのではないでしょうか?一例として以下に消化の良い食物をあげていきます。体質などにより個人差があるため、あくまで参考としてご活用ください。自分に合った食生活を見つける一助となれましたら幸いです。

植物油、脂肪分の少ない魚(かれい、たら、たい、ひらめ、すずきなど)、脂肪分の少ない肉(ソーセージなどの加工肉を除くヒレ肉類、鶏肉など)、白身魚、煮野菜(かぶ、にんじん、大根、カリフラワー、キャベツ、ほうれん草など)、白湯、麦茶、みそ汁やスープ(海藻類は避け、消化に良い具を使いましょう)、たまご、やまいも、きな粉 など

 


 
◎参考文献
Liu, X., et al. (2018). Effects of acupuncture on blood glucose in type 2 diabetes mellitus patients: A randomized controlled trial. Journal of Diabetes Research.
Sun, Y., et al. (2019). Acupuncture for diabetic peripheral neuropathy: A clinical study. Pain Medicine.
Zhao, L., et al. (2021). Systematic review and meta-analysis of acupuncture for diabetes. Complementary Therapies in Medicine.
Kim, T. H., et al. (2020). “Acupuncture for the treatment of diabetes mellitus: A systematic review and meta-analysis.”
Diabetes Research and Clinical Practice, 159, 107982. Cho, W. C., & Chen, H. Y. (2009). “Clinical efficacy of acupuncture on diabetes mellitus: A meta-analysis.”
Journal of Acupuncture and Meridian Studies, 2(4), 263–265.
Lee, M. S., et al. (2009). “Acupuncture for treating peripheral diabetic neuropathy: A systematic review.”
The Clinical Journal of Pain, 25(5), 431–437. International Diabetes Federation (2021). IDF Diabetes Atlas (10th Edition).
中国中医科学院. (2015). 鍼灸学概論. 北京科学技術出版社.
日本糖尿病学会
厚生労働省
国際糖尿病連合(IDF)
アメリカ糖尿病学会(ADA)
日本医師会「生活習慣病予防と糖尿病」 日本糖尿病学会編『糖尿病治療ガイドライン 2023』(文光堂)
WHO(世界保健機関)
Standards of Medical Care in Diabetes – 2024.Diabetes Care. 国立研究開発法人国立国際医療研究センター『糖尿病の基礎知識』
松生恒夫『「腸ストレス」を取り去る習慣』
 

 
◎最後に
鍼灸治療は補完療法として非常に有望な選択肢ですが、個々の患者に合わせた適切な診断と施術が求められます。また、鍼灸治療は現段階ではあくまで補助療法的な位置づけにあり、薬物療法や食事療法と組み合わせて活用することが重要です(重症度があがれば上がる程、これに該当します)
専門家との連携を取りながら、西洋医学と東洋医学を融合させより効果的な治療を目指していきましょう。
 
 

今週も読んで下さりありがとうございました。 今回は「鍼灸治療の効果と効能、使われる経穴」「参考文献」「セルフケア」についてお話させて頂きました。
IBS(過敏性腸症候群)についてのシリーズは一度ここで区切りとなりますが、今月のブログはいかがでしたでしょうか?
もしここについて掘り下げて欲しい等ご要望があれば是非お聞かせください!
来月からはまた新しい題材でブログを更新していきますので、お読みいただけますと幸いです。

今週も読んで下さりありがとうございました。

 

セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院 佐々木


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