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東洋医学㉔ 食事

2020.04.03

こんにちは!

セドナ整骨院・鍼灸院のアロマセラピスト、前田です。

 

前回は「薬膳理論」についてご紹介しました。

 

簡単におさらいしますと、

 

①食材の「五性」を考える

 

②食材の「五味」を考える

 

③食材の「陰陽」を考える

 

④季節を考慮する

 

⑤体質を把握する

 

薬膳は①~④を踏まえた上で、⑤=「その人の体質に合わせた」食材を選ぶことで「処方」出来るのです。

 

 

今回は①「五性」と②「五味」について詳しくご紹介します。

 

 

 

①「五性」

五性は食材を『身体を温めるor冷やす作用』によって分類するものです。

温める作用から冷やす作用まで以下の順に以下の5つが「五性」です。

 

・熱性:身体の冷えを強く温める。興奮作用や新陳代謝の促進作用がある。(山椒、唐辛子、胡椒等)

 

・温性:身体の冷えを温める。作用が穏やかで冷えに効果的。(生姜、葱、鶏肉、鯵、黒砂糖等)

 

・平性:寒熱の働きを持たない穏やかな食材。多くの食材が属する。(穀類、芋類、豚肉、果物等)

 

・涼性:体を冷やし熱邪を取り除く。夏やのぼせに効果的。(大根、胡瓜、法蓮草、セロリ等)

 

・寒性:体を強く冷やし熱邪を取り除く。鎮静作用や解毒作用、消炎作用がある。(西瓜、苦瓜、貝類、白砂糖等)

 

 

熱性と温性の食材は体を温めるだけでなく、痛みを抑えたり、気と血の巡りを促す作用があります。

また、「昇浮(上昇・発散)」の傾向があるので、精神を陽気にしたり、風邪や肝気を取り除く作用があります。

反対に寒性と涼性の食材は体を冷やすだけでなく、毒を排除し、身体を潤す作用があります。

また、「降沈(下降・泄利)」の傾向があるので、頭に上がった熱を下げたり、精神安定の作用があります。

平性はそのどちらの作用も持たずきわめて穏やかな性質なので虚弱体質の方や病後・高齢の方なども安心して食せるという利点があります。

 

 

 

②「五味」

五味は五行論に基づいている分類で、それぞれの味が五臓にも対応しています。

五味・五臓・作用は以下のようになります。

 

酸:酸味の食材は肝を養います。収斂・固渋作用があり、体内から の過剰な発散を防ぎ、筋肉を引き締める作用があります。寝汗、下痢、頻尿、咳などに効能的です。(杏、梅、柘榴、五味子、山査子、酢等)

 

苦:苦味の食材は心を養います。清熱・解毒・消炎・鎮静・利尿・通便・燥湿の作用があります。発熱、ニキビ、食欲不振などに効果的です。(苦瓜、菊花、銀杏、茶葉等)

 

甘:甘味の食材は脾を養います。滋養作用・緊張を緩和し痛みを取る作用があります。慢性疲労、虚弱、疼痛などに効果的です。(穀類、果物、蜂蜜、南瓜等)

 

辛:辛味の食材は肺を養います。体を温め、気血の循環をよくし、滞っているものを発散させる作用があります。冷え、?血、疼痛などに効果的です。(生姜、葱、大蒜、胡椒等)

 

鹹:鹹味(塩辛)の食材は腎を養います。化痰・固いものを和らげ塊を解消する為通便作用があります。血虚、便秘、腫塊などに効果的です。(海藻、海塩、海老等)

 

 

 

「五性」と「五味」の概念は生薬とほぼ同様ですが、食材の作用は生薬の作用に比べて穏やかです。

しかし、日々の食事によって正気を蓄え、陰陽のバランスを保つことで『未病』のうちに治療することができます。

 

毎日の食事の食材の選び方を是非見直してみてください。

 

 

 

次回は「薬膳理論」の④「季節を考慮する」について詳しくご紹介していきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

東洋医学㉓ 食事

2020.03.07

こんにちは!
セドナ整骨院・鍼灸院のアロマセラピスト、前田です。

前回から「薬膳」についてご紹介しています。

簡単におさらいしますと、

中医学の観点からみると身体に良い食事は

食用・食養・食療・薬膳の4種に分類されます。

 

「食用」は季節や土地・環境に応じて栄養バランスを整えた食事を指します。

 

「食養」は季節や土地・環境だけでなく、体質にも考慮した「身体を養う」食事です。

 

「食療」は中医学理論に従い、不調や疾病の改善を目的として補養効果を取り入れた食事を指します。

 

 

「薬膳」は「食養」から更に『生薬』を加えた病気を治療するための膳食になります。

 

 

 

 

今回からは「薬膳理論」について更に詳しくご紹介していきます。

 

 

おさらいでも申し上げたように『薬膳』は中医学理論に従った

「食療」に「生薬」を加えたものになります。

この「生薬」は薬理作用のある自然物であるとされます。

おそらく「生薬」と聞くと、菊花や枸杞子、桂皮や陳皮などの植物の生薬のみをイメージされる方が多いかと思います。
確かに生薬の中でも植物性生薬はそのほとんどを占めます。

植物の種類で言えば種子植物、シダ類、地衣類、藻類、菌類由来の生薬が存在します。

また植物の部位では全草、根茎、皮、枝、葉、花、果実、種子、分泌物などさらに細分化されます。

 

植物以外の生薬は鉱物性生薬と動物性生薬があります。

 

鉱物性生薬は岩石や鉱物などの無機物から生成されます。

 

代表的な物は「石膏」で、身体の熱を冷ましたり、激しい口渇に用いられる生薬です。

 

動物性生薬は哺乳類、爬虫類、昆虫類、貝類に由来するものから生成されます。

代表的な物は「牡蛎」で、不安や不眠、動機、頭痛、めまいなどに用いられる生薬です。

 

生薬の効能は、その重さも重要な手掛かりであるとされています。

自然の法則として、重いものは落下・沈殿し、軽いものは上昇・拡散する性質があります。

これを「天人合一」の考え方に当てはめると、体内でも同じ現象が起こると考えられます。

つまり、軽い生薬は体内に入ると上昇の性質を持ち、中から外へ拡散します。

薬理効果としては、表面の邪や寒邪を取り除く作用などがこれに該当します。

逆に、重い生薬は体内に入ると下降の性質を持ち、外側から内側に沈みます。

薬理効果としては、上逆を鎮めたり、熱邪を取り除いたり、利尿作用などがこれに該当します。

 

また、生薬には効果が発揮される臓腑や経絡が決まっていて、これらを「帰経」といいます。

「帰経」は今後詳しくご紹介する「五味」と深い関係があります。

例えば、酸味の帰経は肝経である為、適量の酸味は肝を保養します。

同様に苦味は心、甘味は脾、辛味は肺、鹹味(塩辛味)は腎を保養します。

 

 

次回は薬膳のもう一つの大きな要素=「食療」の部分のポイントについてご紹介します。

どうぞよろしくお願いいたします。

「東洋医学㉒ 食事」

2020.02.21

こんにちは!
セドナ整骨院・鍼灸院のアロマセラピスト、前田です。

 

少しずつ暖かい日が増えてきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

実はこの時期は様々なアレルギー反応に悩む方が増える季節なのです。

寒暖差、花粉、乾燥による敏感肌等、原因も症状も様々ですが

予防・対策は「質の良い睡眠・適度な運動・バランスのとれた食事」を日々心掛け

身体の状態を整えておく事が重要になります。

今回から東洋医学の観点からみた「食事」についてご紹介していきます。

 

中国では「薬食同源」として、食事から薬が生じるものと考えられてきました。

似ている言葉として「医食同源」という言葉を知っている方は多いかと思います。

医食同源は、日頃からバランスの取れた美味しい食事をとることで病気を

予防・治療しようとする考え方ですが、これは「薬食同源思想」から着想を得て、近年、日本で造語されたものです。

 

古代中国では乳製品や生肉を多く食べる地域があり、そこでは内臓疾患や食中毒が多く発生していました。

その治療の為に鍼灸や漢方薬が発達をしたのですが、それと同時に食物自体の研究も発展を遂げました。

『黄帝内経』「素問」臓気法時論篇第二十二において

“五穀為養、五果為助、五畜為益、五菜為充、気味合而服之、以補益精気”という文章がよく引用されています。

 

これらは、食の医療作用を明確に解説しているのですが、解りやすくすると以下のようになります。

 

・五穀(穀類)は五臓を養う

・五果(果物)は五臓の働きを助ける

・五畜(肉類)は五臓を補う

・五菜(野菜)は五臓を充実させる

 

このように多くの食材を組合せ、陰陽のバランスを考えて食すると

身体の精気を補うことが出来ると解説しています。

 

 

最近では、身体に良い食事を「薬膳」という事が多いのですが

厳密には食用・食養・食療・薬膳の4種に分類されます。

「食用」は季節や土地・環境に応じて栄養バランスを整えた食事を指します。

これに対し、「食養」は季節や土地・環境だけでなく、体質にも考慮した「身体を養う」食事です。

老化防止や美容、体重管理などを目的とした食事を取り込むことも「食養」に含まれます。

 

「食療」は不調や疾病の改善を目的として補養効果を取り入れた食事を指します。

中医学理論に従い、主に弁証論治に基づいて五性や五味を考慮した膳食で

主に虚弱時や病気からの回復食として用いられます。

 

「薬膳」は「食養」から更に『生薬』を加えた病気を治療するための膳食になります。

『生薬』が治療効果を担い、その治療を補佐する「食養」の食事を組むことで「薬膳」に成るのです。

「薬膳」は正式名称を「中医営養薬膳学」と言います。

その為、「薬膳」は料理ではなく、「学問」の一種であるという考えもあります。

 

次回は「薬膳理論」について詳しくご紹介していきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

「東洋医学⑳ 奇恒の腑 2」

2020.01.16

こんにちは!
セドナ整骨院・鍼灸院のアロマセラピスト、前田です

 

前回は「奇恒の腑」の不調についてお話させていただきました。

簡単におさらいをしますと、「奇恒の腑」は五臓とも六腑とも異なる『通常ではない臓器』とも言われます。

具体的には、脳・髄・骨・脈・胆・胞宮(女子胞)を指します。

これら6つの奇恒の腑は機能的には五臓と似て、精気を貯蔵して身体の成長活動の源を担っています。

 

一方、形は腑に似ていますが、六腑のように消化吸収をすることもなく、胆以外は対になる臓腑もありません。

 

その為『奇恒=通常ではない』と呼ばれています。

前回は「奇恒の腑」のうちの脳・髄・骨についてご紹介しました。

 

「脳」は頭骨の内部にある大きな「髄」であると考えられています。

また、「骨」は「髄」によって養われており、「脳」や「骨」の中を満たしているのが「髄」です。

今回は「奇恒の腑」のうち、脈・胞宮・胆の働きと不調について説明していきます。

 

「脈」は「脈は血の府」と『素問』脈要精微論篇に記されていて、現代で言う血管とほぼ同義とされています。

脈はその中に営気と血を通し、気血を全身に行き渡らせる働きを持ちます。

 

そして、血液が血管を『環の端無きが如く』流れていくことから、『正経十二経脈』の三循環式の考え方が生まれたと言われています。

 

脈は心と関係が深い為、心が変調をきたすと脈にも不調が現れます。

脈に不調が生じると、営血が全身に巡らなくなり、脈拍の異常等の症状が現れます。

 

 

「胞宮」は子宮を中心とした女性の内生殖器官全体を指します。

胞宮の主な働きは、月経と懐胎・出産と司る事と、肝血と腎精を主原料とする精血を蓄える事です。

精血の状態の変化や胞絡(衝脈・任脈・督脈)の失調が起こると、胞宮にも不調が現れます。

 

月経では月経不順・月経痛・帯下・不正出血・閉経等

懐胎では悪阻・胎児の不育・逆子等、出産では微弱陣痛や流産等が代表的な症状例です。

 

 

「胆」は「奇恒の腑」の中で唯一、「六腑」にも属しています。

これは胆が消化吸収の機能を持つ一方、

飲食物の移送・貯蔵に関しない性質に所以します。

胆は肝と表裏関係にあり、肝が変調を生じると胆にも不調が現れます。

胆に変調が生じると胆汁の分泌に異常が生じ

飲食物が胃から逆流を起こしやすくなります。

又その影響で、耳鳴りや黄疸などの症状が現れやすくなります。

 

 

これまで各器官・各臓腑の働きと変調に伴う不調についてお話ししてきました。

次回以降は、日常生活でこれらの不調をいかに防ぐか。

という事についてお話ししたいと思います。

 

次回からは中医学論に基づいた食養生「薬膳」についてご紹介していきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

「東洋医学⑳ 奇恒の腑」

2020.01.10

こんにちは!
セドナ整骨院・鍼灸院のアロマセラピスト、前田です。

前回は「水の臓=腎」の不調についてお話させていただきました

簡単におさらいをしますと、腎の主な働きは精を蔵する「蔵精作用」

吸入した気を肺から腎に降ろす「納気作用」、水液代謝を調節する「主水作用」です。

腎が不調になると以下のような症状が出やすくなります

・身体の不調:発育不良、性機能減退、呼吸困難、浮腫み、排尿障害

 

今回は「奇恒の腑」の不調について説明していきます。

 

 

 

「奇恒の腑」は五臓とも六腑とも異なる

『通常ではない臓器』とも言われます。

具体的には、脳・髄・骨・脈・胆・胞宮(女子胞)を指します。

これら6つの奇恒の腑は機能的には五臓と似て

精気を貯蔵して身体の成長活動の源を担っています。

一方、形は腑に似ていますが

六腑のように消化吸収をすることもなく、胆以外は対になる臓腑もありません。

その為『奇恒=通常ではない』と呼ばれています。

「脳」は頭骨の内部にある大きな「髄」であると考えられています。

また、「骨」は「髄」によって養われており

「脳」や「骨」の中を満たしているのが「髄」です。

今回はこの3つの奇恒の腑の働きと

それぞれの変調による不調を紹介していきます。

 

「脳」は髄の海ともいわれ、体内において髄を最も多く蓄えています。

古代中国では、脳は主に五官の働きと四肢の運動・感覚を支配すると考えられていて

「脳=精神活動の中心」と重要視されるようになったのは現代になってからです。

したがって、蔵相学説でも脳の変調は五官・四肢の不調として現れるとされています。

具体的には、脳を満たす髄精が不足することで脳髄の栄養状態が悪くなってしまいます。

それにより、健忘、めまい、耳鳴り、五官(鼻・目・口唇・舌・耳)の不調が症状として現れます。

又、脳の髄が不足すると疲れやすく、活力が無くなります。

悪化すると四肢の倦怠感や脱力感など、運動感覚に症状が現れます。

 

 

「髄」は脳や骨の中にあり、骨格を滋養する「腎精」が変化したものとされています。

 

髄が虚すると骨に栄養を供給することができなくなってしまう為、骨格が脆くなってしまいます。

骨髄が空虚になってしまうと骨盤周りが不安定になりやすく、足が萎えて歩行困難等の症状が現れます。

又、「歯は骨の余り」とされており、歯のぐらつきなどが生じる場合もあります。

 

「骨」は『霊枢』の経脈篇に「骨を幹と為す」とあるように、身体を支える柱です。

又、『素問』の脈要精微論篇では「骨は髄の腑」とされ

骨には髄が蓄えられ、骨は気・血と髄によって養われています。

骨と髄は腎との関りが深く、腎気が不足すると、骨に影響が現れやすくなっています。

腎気が減った影響で骨の髄が減った状態が常になると、骨粗しょう症などの症状が現れます。

逆に腎気が熱を帯びると腰が抜けたような状態になりやすくなってしまいます。

次回も「奇恒の腑」の不調についてご紹介していきます。

「東洋医学⑲ 水の臓=腎」

2019.12.23

こんにちは!
セドナ整骨院・鍼灸院のアロマセラピスト、前田です。

前回は「金の臓=肺」の不調についてお話させていただきました。

簡単におさらいをしますと

肺の主な働きは皆さんご存知の通り「呼吸作用」です。

 

これを東洋医学的に説明しますと、気や津液を全身に拡散させる「宣発作用」と

気や津液を下方に降ろす「粛降作用」に分けることができます。

肺が不調になると以下のような症状が出やすくなります。

・身体の不調:風邪に罹りやすくなる、胸悶、喘息、息切れ
・情緒面の不調:喪失感、思考や感情の鈍り、うつ

 

今回は「水の臓=腎」の不調について説明していきます。

 

「腎」には、精を蔵する「蔵精作用」

吸入した気を肺から腎に降ろす「納気作用」

水液代謝を調節する「主水作用」

の3つの生理的機能があります。

 

まずはこの3つの作用と作用の不調に伴う症状を一つずつ解説していきます。

 

「蔵精作用」は精を貯蔵する作用です。

精には父母から受け継いだ「先天の精」と飲食物から得る

「後天の精」があり、その両方が腎に蓄えられています。

これらの精(腎精)にも陰と陽があり

腎陽が腎陰を熱することで腎精が働きを得ます。(=腎気)

腎気は命門から丹田、三焦を通り全身に運ばれて身体の維持と発達に関与します。

 

 

「蔵精作用」が失調すると「腎精」が不足してしまいます。

その場合の症状は年齢によって異なるのですが、乳幼児は発育不良、

思春期は性の成熟不良、成人では性機能減退

老年期では痴呆や足腰の弱りなどの老化現象として現れます。

また、腎精は骨の髄を生成する働きもある為

腎精が不足すると骨が脆くなります。

その結果、歯が抜けたり、骨粗しょう症になりやすくなります。

 

「納気作用」は吸入した気を肺から腎に降ろす作用です。

前回ご紹介した肺の「呼吸作用」の続きになるのですが

呼吸の「呼」は肺の宣発作用が担っています。

そして「吸」は肺の粛降作用と腎の納気作用が担っているのです

つまり「呼吸作用」は肺のみではなく

肺と腎が両方機能して初めて正常に行われるのです。

 

この「納気作用」が失調すると「清気」を腎に降ろすことが難しくなってしまいます。

その為、息切れや呼吸困難などの呼吸機能に様々な支障が生じやすくなってしまいます。

 

「主水作用」は納気作用によって気と一緒に腎に送られた水液の代謝を調節する作用です。

腎はこの水液を清濁(必要な部分と不要な部分)に分けます。

そして必要な清の部分を胸中に戻して全身の滋潤に利用します。

濁の部分は膀胱に送られ尿となって体外に排出されます。

このような「水液の貯蔵・散布・排泄」といった機能をまとめて「主水作用」といいます。

この「主水作用」が失調すると体内に水分が停滞し、浮腫みや冷えが生じます

また、腎の不調から膀胱が正常に機能しなくなってしまうと尿量の減少や頻尿

失禁といった異常がみられるようになります。

このような「腎」の不調が生じた場合は、身体を温めることが非常に重要になります。

体を冷えから守るために重要なのは、大きな血管が集まっている体の中心部

つまりおなか、腰、おしりを温めることです!

手足の先が冷える人も、まずは体の真ん中を温めると効率よく末端まで血が行渡り冷えにくくなるので効果的です。

また、漢方的には0時から2時までの間は子時(しし)といって

「腎」にとって大切な時間といわれています。

この時間帯を静かに過ごすことで、「腎」養われるので、夜更かしをせす

早寝早起きで睡眠時間を確保することが「腎」の回復・養生のカギになります。

 

次回からは「奇恒の腑」の不調についてご紹介していきます。

「東洋医学⑲ 金の臓=肺」

2019.12.16

こんにちは!
セドナ整骨院・鍼灸院のアロマセラピスト、前田です。

前回は「土の臓=脾」の不調についてお話させていただきました。

簡単におさらいをしますと「脾は後天の本」や「脾は生化の源」と言われていて

脾は身体の基本物質である気血や津液の原材料を供給している臓器です。

 

脾の主な働きは飲食物を消化・吸収し、人体の栄養分である

「水穀の精微」を生成し、全身に運搬する「運化作用」です。

脾が不調になると以下のような症状が出やすくなります。

・身体の不調:食欲不振や胃下垂、腹痛、血便や血尿、月経過多

・情緒面の不調:悩みを抱えたり、落ち込みやすくなる

 

 

今回は「金の臓=肺」の不調について説明していきます。

 

肺の主な働きは皆さんご存知の通り「呼吸作用」です。

これを東洋医学的に説明しますと

気や津液を全身に拡散させる「宣発作用」

気や津液を下方に降ろす「粛降作用」に分けることができます。

この二つの作用を用いて、自然の清気を吸い込み

濁気を排出することを「呼吸作用」といいます。

 

もう一つの肺の大きな働きは「気」を司る作用です。

このうちの一つは「火の臓器=心」を助ける作用です。

肺は自然の清気と水穀の精微を結合させて宗気を作ります。

この宗気が営気や衛気の原材料になり

ひいては心の働きである「血液循環作用」を助けます。

もう一つは全身の気機(気の働き)に関する作用です。

身体のあらゆる働きは各種の気によってなされています。

この気の調節には肺の「呼吸作用」が大きな影響を与えます。

このような作用から「諸気は皆肺に属す」(『素問』五臓生成篇)と言われるのです。

肺に不調が生じ、「宣発作用」の働きが低下してしまうと

免疫機能を担っている衛気が全身に行渡らなくなってしまいます。

 

肺は呼吸によって外気と通じているので

防衛機能が低下してしまうと体に外邪が侵入しやすくなります。

 

その結果、感冒(=風邪)に罹りやすくなり、発病時には自汗や悪風

胸悶やくしゃみ、喘息などの症状が見られます。

 

「粛降作用」の働きが低下した場合は、特に呼吸の異常として症状が現れます。

清気を吸い込み体内へ気を降ろす、という本来の働きが出来なくなる為

体外に排出すべき濁気が詰まりやすくなってしまいます。

その結果気が逆上して、喘息や咳、息切れなどの呼吸障害が現れます。

 

 

このような「肺」の不調が生じた場合は

保湿をすることが非常に重要になります。

肌の保湿をすることで皮膚のバリア機能が働きやすくなり

免疫作用を助けることができます。

 

又、空咳や痰が出るような環境は肺の負担になるので

 

室内の加湿をすることが「肺」の回復・養生のカギになります。

 

次回は「水の臓=腎」の不調についてご紹介していきます。

「東洋医学⑱」 「土の臓=脾」

2019.12.09

こんにちは!
セドナ整骨院・鍼灸院のアロマセラピスト、前田です。

前回は「火の臓=心」の不調についてお話させていただきました。

簡単におさらいをしますと、「心とは生の本」と言われていて

心は生命の根本を担う臓器です。

心の主な働きは血を全身に巡らせる

「血液循環作用」です。

 

心が不調になると以下のような症状が出やすくなります。

身体の不調:動機や不整脈、胸内苦悶や胸痛、貧血、息切れ、手足の冷え

情緒面の不調:哄笑や些細なことでも悲しみの感情が生じる.

 

 

今回は「土の臓=脾」の不調について説明していきます。

 

 

脾の主な働きは飲食物を消化・吸収し

人体の栄養分である「水穀の精微」を生成し

全身に運搬する「運化作用」です。

 

「運化」とは、食物の中から人体にとって

必要な「水穀の精微」を取り込むことです。

そして、吸収した「水穀の精微」を

上焦まで運び上げます。(=昇清作用)

上焦まで運び上げられた「水穀の精微」は、

肺によって取り込まれた自然の「清気」と合体して「宗気」となります。

この「宗気」が全身を養う気血の素になります。

 

つまり、脾は身体の基本物質である気血や津液の原材料を

供給している臓器、ということができます。

 

この気・血・津液(水)がなければ人間は生きていけないため

「脾は後天の本」「脾は生化の源」とも称されます。

脾の働きが低下してしまうと

食物の消化・吸収に異常が生じ

食欲不振や胃下垂、腹痛になりやすくなります。

また、水穀の精微を材料とする気・血を生成できなくなり

結果として津液の運行も停滞してしまいます。

 

血を推動させる気が不足すると血の運行も停滞し

全身を滋養出来なくなってしまいます。

そのため臓腑や経絡といった器官も栄養不足になり

全身の倦怠感や無気力などの症状が現れやすくなります。

また、津液の運化が低下すると痰湿や浮腫の症状が現れます。

 

 

脾には血脈に血を留める働き(=統血作用)もあります。

この統血作用が低下すると体外に血が漏れ出るようになってしまいます。

これらは血便や血尿、皮下出血、月経過多などの症状として体に反映されます。

 

また、脾は思考とも結びつきが強いとされています。

深く思い悩んだり考えすぎると脾を傷つけると言われています。

逆に脾気が損傷すると悩み事を抱えやすくなったり、落ち込みやすくなってしまいます。

 

 

次回は「金の臓=肺」の不調についてご紹介していきます。

東洋医学⑰

2019.11.29

こんにちは!
セドナ整骨院・鍼灸院のアロマセラピスト、前田です。

前回は「木の臓=肝」の不調についてお話させていただきました。

簡単におさらいをしますと、肝には「蔵血作用」と「疏泄作用」の二つの大きな働きがあり

肝が不調になると以下のような症状が出やすくなります。

・身体の不調:頭痛やめまい、耳鳴りや難聴、月経異常、手足の痺れ

・情緒面の不調:精神抑うつ、怒りっぽくなる、感情の起伏が激しくなる

 

今回は「火の臓=心」の不調について説明していきます。

 

「心とは生の本」(『素問』六節蔵象論篇)と記されているように

心は生命の根本を担う臓器です。

心の主な働きは血を全身に巡らせる「血液循環作用」です。

 

この働きが低下してしまうと、四肢や各器官まで血が届かず

全身のあちこちで栄養障害を生じてしまいます。

特に顔は血脈が多いため症状が現れやすく

不調時には顔色が青白く、唇も紫色になります。

このような症状が出ると、心は血行障害を改善したり血虚を解消するために

拍動を増やして血の運行を促進させようとします。

その結果、動機や不整脈、胸内苦悶や胸痛、貧血、

息切れ、手足の冷えなどの症状を起こしやすくなります。

また、心に関連する汗や舌にも症状が現れやすくなります。

特に多汗は心陽が亢進状態になる場合だけでなく

心気虚や心陽虚の場合にも起こります。

舌は味覚障害や舌がもつれる等の症状として心の状態が反映されます。

 

心は「君主の官」ともいわれ、精神や意思等をつかさどる神(神志)が存在します。

心の不調によって神志をつかさどる作用が失調すると、集中力や判断力や記憶力の低下

不眠や多夢などの症状が現れます。

また、火が対応する五志=喜は人体の生理活動に対してプラスに作用しますが

過度になると心を損なうことがあります。

心神が変動すると哄笑や些細なことでも悲しみの感情が生じるようになってしまいます。

このような「心」の不調が生じた場合は、心拍数が急上昇するような激しい運動や暑すぎるお風呂を避けるようにしましょう。

また、喜びのあまり興奮したり、過度な驚きも心を傷めますので

なるべく平穏に過ごすことがことが「心」の回復・養生のカギになります。

 

次回は「土の臓=脾」の不調についてご紹介していきます。

「東洋医学⑯」

2019.11.18

こんにちは!

セドナ整骨院・鍼灸院のアロマセラピスト、前田です。

 

 

前回から東洋医学の内臓観『蔵象説』についてご紹介しています。

少し間が空いてしまいましたので、まずは復習からはじめていきますね。

 

東洋医学では臓腑(内臓)は単なる身体の構成物質ではなく

生理的・病理的な現象、精神活動の中心と考えられています。

 

『蔵象説』の『蔵』は内臓を指し

『象』は外に現れる生理的・病理的現象を意味します。

 

すなわち、人体の生理・病理現象の観察を通じて

各内臓の病理や相互関係を解き明かすのが蔵象説であり

臨床治療における根本となっているのです。

 

そして、臓腑は表裏関係にあり臓腑が一つずつ対になって五行の一行に属しています。

 

肝と胆は「木」、心と小腸は「火」、脾と胃は「土」

肺と大腸は「金」、腎と膀胱は「水」に属します。

 

これらの表裏関係にある臓腑は経脈で繋がっていて変調を伝えやすくなっています。

 

 

今回は「木の臓=肝」の不調について説明していきます。

肝の大きな働きは「蔵血作用」と「疏泄作用」です。

 

「蔵血作用」とは血の貯蔵と血流量調整の働きを指します。

就寝時には肝に血液が還流し貯蔵されることで、心神が安寧となるので眠くなります。

そして日中になると血を四肢に分配し、心身の活動をサポートします。

 

しかし、肝が不調になると蔵血作用がうまく機能しなくなり

各部での血虚から頭痛やめまい、耳鳴り、難聴、月経異常が生じるようになります。

また、肝血不足が続き筋が栄養不足になってしまうと

運動機能の低下や手足の痺れ、痙攣を引き起こすようになってしまいます。

 

 

もう一つの「疏泄作用」とは全身の「気」を調節する機能です。

「肝」は元々怒りやストレスなど感情の影響を受けやすいのですが

この疏泄作用の働きが乱れると全身の気(神を含む)の巡りが悪くなってしまいます。

 

体内に肝気が過剰になって停滞してしまうと精神抑うつやイライラと怒りっぽくなったり

感情の起伏が激しくなるというような情緒面で大きな影響が出ます。

また、気の詰まりからくる胸の苦しさや攣れるような痛み、月経異常などが生じるようになります。

 

このような「肝」の不調が生じた場合はまずストレスを避け

リラックスした時間を持つことが「肝」の回復・養生のカギになります。

 

次回は「火の臓=心」の不調についてご紹介していきます。

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