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鍼灸はなぜ肩こりや腰痛を和らげるのか?~ゴルジ器官編~

2026.06.16 | Category: 肩こり,腰痛,自律神経,解剖学,鍼灸

皆さんこんにちは!セドナ整骨院千葉駅前院 鍼灸師兼あん摩マッサージ指圧師の佐々木です。

今回は前回に引き続き「痛み」をテーマに、鍼灸で痛みが和らぐ理由について少しお話させていただければと思います。

肩こりや腰痛は、多くの方が一度は経験したことのある身近な不調です。しかし、その一方で「年齢のせいだから仕方ない」「慢性的だから治らないもの」と諦めてしまっている方も少なくありません。

毎年行われている厚生労働省による健康調査の中に、体の不調についての設問があり、男女ともに毎回上位を占めるのが肩こりや腰痛です。
実際、今このブログを読んでくださっている方の中にも肩こりや腰痛に悩まされている方は多いことかと思います。

肩こり・腰痛は国民病?

不定愁訴についての調査期間は3年おきに行われるため、現時点(2026年6月)での最新版である厚生労働省の『令和4年 国民生活基礎調査』健康の状況(自覚症状)=自覚的に困っている症状によりますと

男性:
1.腰痛
2.肩こり
3.咳や痰が出る
4.鼻がつまる・鼻水が出る
5.疲れやすい

女性:
1.肩こり
2.腰痛
3.手足の関節が痛む
4.疲れやすい
5.頭痛

上記のような順位で自覚症状数があります。いずれも肩こり・腰痛は例年上位2位以上に座しており、国の統計からも非常に多くの方々のお悩みであることがうかがえます。

当院でも、「耳鳴りが主訴です」「自律神経の乱れが気になります」「眠れなくて困っています」といったご相談で来院される患者様が多くいらっしゃいます。しかし詳しくお話を伺うと、肩こりや首こり、腰の張りを同時に抱えているケースが非常に多く見られます。

つまり肩こりや腰痛は、それ自体が症状であるだけでなく、さまざまな不調の土台となっていることが少なくないのです。

肩こりや腰痛はなぜ起こるのか

痛みが出てしまう一つの大きな要因として、筋肉の緊張があります。

長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、運動不足、精神的ストレスなどによって筋肉が緊張すると、筋肉の中を流れる血液の循環が悪くなります。

すると筋肉に十分な酸素や栄養が届きにくくなり、老廃物も滞りやすくなります。その結果、ブラジキニンやプロスタグランジンといった発痛物質が蓄積し、感覚神経を刺激することで痛みや重だるさを感じるようになります。

また、痛みを感じることでさらに身体が緊張し、筋肉が硬くなり、血流が悪くなるという悪循環に陥ることもあります。

慢性的な肩こりや腰痛がなかなか改善しないのは、この悪循環が繰り返されているためです。

そこで鍼灸治療が役立つ可能性があります。鍼灸の代表的な作用の一つが、筋肉の緊張を和らげることです。

鍼灸で筋肉がゆるむ仕組み

これらの症状の改善のため、肩こりや腰痛によく使われるツボとして、肩井や腎兪などがあります。
実は、こうしたツボの中には筋肉本体ではなく、筋肉と骨をつなぐ腱の近くに位置しているものが少なくありません。なぜ筋肉ではなくて腱なのでしょうか。

そのカギを握るのが、腱にあるゴルジ腱器官と呼ばれる器官です。
筋肉の収縮・弛緩に伴って生じる張力のセンサーで、筋肉と骨をつなぐ腱の中に存在し、筋肉にどれくらいの張力がかかっているかを常に監視しています。

鍼灸やツボ押しで肩井や腎兪を刺激すると筋肉の一時的な収縮が起きてこの腱のはたらきが活性化し、刺激はインパルスに変換されます。

このインパルスは、腱紡錘と脊髄を結ぶ1b神経線維を通じて、痛覚などの感覚情報を脳へ伝える中継点である脊髄の後角というところに入ります。

さらにここから、インパルスを伝達する脊髄の神経(介在ニューロン)を通って、脊髄から末梢に向けて伸び、運動指令の情報を筋肉に伝えるα運動神経に伝わります。

α運動ニューロンは筋肉へ「力を入れなさい」という命令を伝える神経です。その活動が抑えられることで筋肉は弛緩し、過剰な緊張が和らぎます。

こうした筋肉の緊張緩和によって血管が広がり、血流が流れやすくなった結果、痛み物質が除去される、という鎮痛効果がもたらされると考えられています。

解剖学的な視点から今回はお話させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?少し難しいキーワードが多くありましたね。

専門的なお話になりましたが、今回のポイントは「ゴルジ腱器官」という筋肉の緊張を調節する仕組みにあります。鍼灸はこの働きを利用して筋肉の緊張を和らげ、血流を改善することで痛みの軽減につなげていると考えられています。

また、近年は身体的な負担だけでなく精神的なストレスがこういった痛みの症状に関与している方も増えています。ストレスを感じると自律神経のうち交感神経が優位になりやすく、身体は無意識のうちに力が入りやすい状態になります。その結果、肩や首、背中などの筋肉が緊張しやすくなり、慢性的なこりや痛みにつながることがあります。

実際に施術を受けられた患者様からは、「肩だけでなく身体全体が軽くなった」「腰の痛みだけでなく睡眠の質も良くなった」「気付いたら頭痛の頻度が減っていた」といったお声をいただくこともあります。

もちろん症状の原因や経過には個人差がありますが、単に痛みのある部分だけを見るのではなく、身体全体のバランスや生活習慣、ストレスの状態なども含めて考えていくことが大切です。

肩こりや腰痛は、「みんなが持っているから仕方ない症状」ではありません。適切なケアによって改善が期待できる症状です。もし長年の肩こりや腰痛にお悩みの方は、一人で抱え込まずお気軽にご相談ください。

鍼灸が皆様の身体を整える選択肢の一つになれば幸いです。

【参考文献】
・厚生労働省
・「東洋医学はなぜ効くのか」著:山本高穂、大野智


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