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「東洋医学⑲ 水の臓=腎」

2019.12.23 | Category: 東洋医学

こんにちは!
セドナ整骨院・鍼灸院のアロマセラピスト、前田です。

前回は「金の臓=肺」の不調についてお話させていただきました。

簡単におさらいをしますと

肺の主な働きは皆さんご存知の通り「呼吸作用」です。

 

これを東洋医学的に説明しますと、気や津液を全身に拡散させる「宣発作用」と

気や津液を下方に降ろす「粛降作用」に分けることができます。

肺が不調になると以下のような症状が出やすくなります。

・身体の不調:風邪に罹りやすくなる、胸悶、喘息、息切れ
・情緒面の不調:喪失感、思考や感情の鈍り、うつ

 

今回は「水の臓=腎」の不調について説明していきます。

 

「腎」には、精を蔵する「蔵精作用」

吸入した気を肺から腎に降ろす「納気作用」

水液代謝を調節する「主水作用」

の3つの生理的機能があります。

 

まずはこの3つの作用と作用の不調に伴う症状を一つずつ解説していきます。

 

「蔵精作用」は精を貯蔵する作用です。

精には父母から受け継いだ「先天の精」と飲食物から得る

「後天の精」があり、その両方が腎に蓄えられています。

これらの精(腎精)にも陰と陽があり

腎陽が腎陰を熱することで腎精が働きを得ます。(=腎気)

腎気は命門から丹田、三焦を通り全身に運ばれて身体の維持と発達に関与します。

 

 

「蔵精作用」が失調すると「腎精」が不足してしまいます。

その場合の症状は年齢によって異なるのですが、乳幼児は発育不良、

思春期は性の成熟不良、成人では性機能減退

老年期では痴呆や足腰の弱りなどの老化現象として現れます。

また、腎精は骨の髄を生成する働きもある為

腎精が不足すると骨が脆くなります。

その結果、歯が抜けたり、骨粗しょう症になりやすくなります。

 

「納気作用」は吸入した気を肺から腎に降ろす作用です。

前回ご紹介した肺の「呼吸作用」の続きになるのですが

呼吸の「呼」は肺の宣発作用が担っています。

そして「吸」は肺の粛降作用と腎の納気作用が担っているのです

つまり「呼吸作用」は肺のみではなく

肺と腎が両方機能して初めて正常に行われるのです。

 

この「納気作用」が失調すると「清気」を腎に降ろすことが難しくなってしまいます。

その為、息切れや呼吸困難などの呼吸機能に様々な支障が生じやすくなってしまいます。

 

「主水作用」は納気作用によって気と一緒に腎に送られた水液の代謝を調節する作用です。

腎はこの水液を清濁(必要な部分と不要な部分)に分けます。

そして必要な清の部分を胸中に戻して全身の滋潤に利用します。

濁の部分は膀胱に送られ尿となって体外に排出されます。

このような「水液の貯蔵・散布・排泄」といった機能をまとめて「主水作用」といいます。

この「主水作用」が失調すると体内に水分が停滞し、浮腫みや冷えが生じます

また、腎の不調から膀胱が正常に機能しなくなってしまうと尿量の減少や頻尿

失禁といった異常がみられるようになります。

このような「腎」の不調が生じた場合は、身体を温めることが非常に重要になります。

体を冷えから守るために重要なのは、大きな血管が集まっている体の中心部

つまりおなか、腰、おしりを温めることです!

手足の先が冷える人も、まずは体の真ん中を温めると効率よく末端まで血が行渡り冷えにくくなるので効果的です。

また、漢方的には0時から2時までの間は子時(しし)といって

「腎」にとって大切な時間といわれています。

この時間帯を静かに過ごすことで、「腎」養われるので、夜更かしをせす

早寝早起きで睡眠時間を確保することが「腎」の回復・養生のカギになります。

 

次回からは「奇恒の腑」の不調についてご紹介していきます。


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