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3月に増える「春の不眠」とHPA軸の関係

2026.03.17

3月になると
「寝つきが悪くなった」
「夜中に目が覚める」
「眠っているはずなのに疲れが取れない」
といった相談が増えてきます。

寒さが和らぎ、日照時間も少しずつ長くなる時期ですが、体にとっては意外と負担の大きい季節です。
その背景に深く関わっているのが、HPA軸と呼ばれるストレス反応の仕組みです。

HPA軸とは何か

HPA軸とは、
視床下部(Hypothalamus)
下垂体(Pituitary)
副腎(Adrenal)

の頭文字を取ったものです。

この3つは、私たちがストレスを感じたときに連動して働き、コルチゾールというホルモンを分泌します。
コルチゾールは本来、
・朝の目覚めを助ける
・血圧や血糖を保つ
・炎症を抑える
など、生命維持に欠かせない役割を持っています。

しかし、ストレスが長く続くと、このHPA軸が過剰に働き続けてしまいます。

なぜ3月はHPA軸が乱れやすいのか

3月は気づかないうちに、ストレス要因が重なります。

・年度末による仕事の忙しさ
・異動、退職、引き継ぎ
・進学や就職など生活環境の変化
・寒暖差による身体的ストレス

これらはすべて、HPA軸を刺激する要因です。
特に問題なのは、「自分ではストレスと感じていない」ケースです。

頭では「大丈夫」と思っていても、体はしっかりと変化に対するストレス反応を起こしています。
その結果、夜になっても交感神経のスイッチが切れず、コルチゾールが高い状態のままになりやすくなります。

本来、コルチゾールは朝に血中数値が高くなり、日中の活動をサポートする役割を担っています。そして睡眠時は分泌の必要がなくなるため夜に向かって下がっていくというホルモン分泌の概日リズムがあります。
このリズムが崩れると、眠気が出にくくなり、不眠につながります。

春の不眠が「疲れ」につながる理由

眠れない状態が続くと、HPA軸はさらに過敏になります。
「眠れないこと自体」が新たなストレスとなり、
→ コルチゾールが高い
→ 眠れない
→ さらに疲れる
という悪循環に入りやすくなります。

この時期に多いのが、
・朝起きてもスッキリしない
・日中ぼーっとする
・肩こりや胃の不快感が強くなる
といった、いわゆる自律神経症状です。

鍼灸からみたHPA軸と睡眠

鍼灸や整体治療は、HPA軸に直接働きかけるわけではありません。
しかし、臨床的には
・過緊張状態をゆるめる
・副交感神経が働きやすい状態をつくる
・「休める体」に戻す
という点で、睡眠との相性は良いとされています。

特に春先の不眠は、「眠らせる」よりも「力を抜ける状態を作る」ことが重要です。

首や背中の緊張、呼吸の浅さ、お腹の張りなどを整えていくことで、夜の過覚醒が落ち着いてくるケースは少なくありません。

春の不眠は「早めのケア」が大切

春の不眠は、放っておくと夏まで引きずることがあります。
「季節の変わり目だから仕方ない」と我慢せず、体のサインとして受け取ることが大切です。

眠れない、疲れが抜けない、気持ちが落ち着かない。
そんなときは、体の緊張や自律神経の状態を一度見直してみるのも一つの方法です。環境が変わる季節だからこそ、がんばるための体ではなく、回復できる体を整えていきましょう。

参考文献

本記事は、内分泌学・睡眠医学・心身医学分野の研究報告を参考に構成しています。

  1. Tsigos C, Chrousos GP.
    Hypothalamic–pituitary–adrenal axis, neuroendocrine factors and stress.
    Journal of Psychosomatic Research. 2002.
  2. McEwen BS.
    Stress, adaptation, and disease: Allostasis and allostatic load.
    Annals of the New York Academy of Sciences. 1998.
  3. Charmandari E, Tsigos C, Chrousos G.
    Endocrinology of the stress response.
    Annual Review of Physiology. 2005.
  1. Weitzman ED et al.
    Twenty-four hour pattern of the episodic secretion of cortisol in normal subjects.
    Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 1971.
  2. Buckley TM, Schatzberg AF.
    On the interactions of the HPA axis and sleep.
    Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 2005.
  1. Vgontzas AN et al.
    Chronic insomnia is associated with increased activation of the stress system.
    Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 2001.
  2. Meerlo P, Sgoifo A, Suchecki D.
    Restricted and disrupted sleep: Effects on autonomic function, neuroendocrine stress systems.
    Sleep Medicine Reviews. 2008.
  1. Huang W et al.
    Effect of acupuncture on autonomic nervous system in insomnia patients.
    Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2011.
  2. Kim YS et al.
    Acupuncture modulates stress responses by regulating the HPA axis.
    Neuroscience Letters. 2017.

睡眠時の体温と睡眠の質の深い関係について

2025.12.25

みなさんこんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院 千葉駅前院の佐々木です!

今回は今の時期に多いお悩みである「睡眠」をテーマにお話しさせていただきます。最後までお付き合い頂けますと幸いです。


冬になると

「布団に入っても体が冷えて眠れない」
「夜中や明け方に目が覚めてしまう」
「寝たはずなのに疲れが取れない」

といった睡眠の悩みを訴えられる方が増えてきます。
寒さの影響で体がこわばり、自律神経も乱れやすくなるこの時期は、睡眠の質が低下しやすい季節 でもあります。

こうした冬の睡眠トラブルには、実は 体温の変化 が深く関係していることが、近年の研究から分かってきています。


冬でも体温は「下がること」が大切です

寒い時期に入り、暖房や分厚い寝間着を用意される方が増えていますが、実は人の体は眠りにつくために 深部体温(体の内部の温度)を下げる必要 があります。
これは夏でも冬でも変わらない、人間の生理的な仕組みです。

しかし冬場は、
・寒さで体が緊張しやすい
・冷えを防ごうとして血管が収縮しやすい

といった理由から、体温をうまく調整できず、深部体温がスムーズに下がらない ことがあります。

その結果、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりするのです。


「冷えている=体温が低い」わけではありません

冬になると「体が冷えているから眠れない」と感じる方が多いですが、
実は 表面が冷えていることと、深部体温が下がることは別 です。

眠りに入るときには、
体の中心部の熱を、手足などの末端から外へ逃がす必要があります。

ところが、冬場は手足が冷えすぎて血流が悪くなり、
熱をうまく外に逃がせなくなる ケースが少なくありません。

この状態では、深部体温が下がらず、体は「まだ休む準備ができていない」と判断してしまいます。


冬の睡眠で起こりやすい体の反応

研究では、体温がうまく下がらない状態が続くと、

・寝つくまでに時間がかかる
・夜中に目が覚めやすくなる
・深い睡眠が減り、眠りが浅くなる

といった変化が起こりやすいことが分かっています。

また、寒さによって交感神経が優位になりやすく、
睡眠中も体が緊張したままになってしまうケースも少なくありません。

「冬になると疲れが抜けにくい」という方は、
この体温と自律神経の影響を受けている可能性があります。


冬こそ入浴のタイミングが重要です

寒い時期の睡眠対策として、特に重要なのが 入浴 です。

冬場はシャワーだけで済ませてしまう方もいますが、
体温の観点から見ると、湯船につかることには大きな意味があります。

入浴で一時的に体温を上げることで、その後に 自然な体温低下 が起こりやすくなります。
この体温が下がる流れが、眠気を引き出してくれます。

ポイントは、
就寝の1〜2時間前に入浴を終えること

寝る直前の入浴は体温が下がりきらず、かえって目が冴えてしまうことがあるため注意が必要です。


冬の寝室環境にも気を配りましょう

冬の睡眠では、「冷やさないこと」と「温めすぎないこと」の両立が大切です。

寒すぎる寝室では体が緊張し、
逆に暖房を強くしすぎると、布団の中で熱がこもりやすくなります。

研究では、
体が自然に体温調整できる環境 が、深い睡眠につながりやすいとされています。

・寝室を冷やしすぎない
・布団の中が蒸れないよう調整する
・首・手首・足首を冷やしすぎない

といった点を意識してみてください。


冬の睡眠を守るために意識したいポイント

寒い時期に特に意識していただきたいポイントをまとめます。

・就寝1〜2時間前に湯船につかる
・手足を冷やしすぎない
・締め付けの少ないパジャマを選ぶ
・寝室を寒くしすぎない
・寝る直前までスマホやテレビを見続けない

これらは、体温と自律神経の両方を整えるうえで大切な習慣です。


〜冬の睡眠は「冷え対策」だけでは足りません〜

冬の睡眠トラブルは、単なる冷えだけでなく、
体温のリズムが乱れていること が背景にある場合も多くあります。

大切なのは「体を温めること」だけでなく、
眠るためにきちんと体温を下げられる状態を作ること です。

寒い季節だからこそ、体温の変化を意識した生活を心がけてみてください。
それが、冬でも質の良い睡眠につながっていきます。


参考文献

  • Kräuchi K. et al. Sleep Medicine Reviews, 2019
  • Okamoto-Mizuno K. et al. Sleep and Biological Rhythms, 2023
  • Haghayegh S. et al. Sleep Medicine Reviews, 2019

最後までお読みくださりありがとうございました。

当院では不眠で悩まれている患者様もご来院されています。お気軽にお問い合わせくださいませ。

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