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鍼灸と期外収縮③

2025.03.20 | Category: 鍼灸

こんにちは!セドナ整骨院千葉駅前院の佐々木です。

今回は「期外収縮に対する鍼灸治療における臨床研究」についてお話させて頂きたいと思います。

前回、期外収縮と鍼灸の関わり、鍼灸が身体にどのような影響を与えるのかについてお話させて頂きました。また、東洋医学的観点からみた期外収縮についても少しお話させて頂きました。

今回は実際に鍼灸を用いてどのような研究が行われているのかをみていきましょう。

◎期外収縮に対する鍼灸治療における臨床研究(心室性期外収縮 (PVC)に対する鍼灸治療の症例)

 

【症例】41歳 男性

主訴:不整脈と肩こり

既往歴:過去3回の発作性心房細動

現病歴:上腹部の不快感からに内科医院を受診し、 ホルター心電図の結果から PVC (0.1%以下) がみられるものの問題なしと診断される。症状が悪化し、 12誘導心電図とホルター心電図を実施し、 PVCの単発総数と2段脈の増加がみられたが薬物療法は勧められず経過観察となった。 しかし、 日常生活で不快感があることから鍼治療を開始することとなった。

【方法】鍼治療は不整脈の治療として、 内関、 心兪、 神門、 足三里、 百会、 中、 太渓を選穴し、 旋撚後に10分間の置鍼を行った。

肩こりの治療として、 圧痛部位に10分間の置鍼を行い、 治療頻度は2回/週とした。

効果判定は胸部不快感(テスト法:VAS)、QOL(テスト法:SF-36v2)、 24時間のPVCの総数(テスト法:ホルター心電図)とした。

【結果】1診目の胸部不快感によるVASは1診目では68mm、 3診目では9mm、 5診目では 15 mm、 7診目では4mm、 9診目ではVASが3mmとなり、 SF-36v2の改善も見られた。 日常生活においても不整脈による不快感はほぼ消失した。 また、 治療開始前のPVC単発回数は534回/日、 2段脈は3回/日であったが、 2週間後のPVC単発回数は120回/日、 2段脈は0回/日となり、 PVC総数は正常範囲に近づいた。

【考察】PVCに対する鍼治療は薬物療法との併用だけでなく鍼治療単独でも有効となる可能性があり、 医師の診断によって安全性を考慮した上で行う鍼治療はPVC総数を減少させQOL(生活の質)を改善させることが示唆された。

 

【症例】58歳 男性

現病歴:高血圧 左心室肥大冠不全 4拍に1回程度の心室性期外収縮あり

【方法】坐位(座った状態)で心兪、厥陰兪、左右両側それぞれ10回ずつ雀啄し10分程放置

【結果】正常の洞調律となった

 

【症例】58歳 女性 専業主婦

主訴:早朝どきんどきんとしてくる心室性期外収縮

現病歴:冠不全

【方法】郄門 左右両側の低周波刺15分

【結果】3回目の治療にて消失が確認された

 

【症例】56歳 男性 高校の校長

主訴:自分ではあまり自覚はない

現病歴:心室性期外収縮、忙しいので過緊張が続いていたが健康診断時に不整脈といわれ精査を命ぜられた。胸部X線 、血圧、UCG等 に特に異常はないが、心塞性期外収縮がありトレッドミル(=ランニングマシン)Bruce2度(=運動レベル)でも冠不全の所見はない。

【方法】郄門に左右両側低周波刺激15分。尚薬物療法していない。

【結果】3回目の治療にて消失が確認された

 

【症例】69歳 女性 専業主婦

主訴:動悸、息切れ

【方法、結果】郄門置針10分後に大分らくになりS-Tの改善がみられ、さらに低周波通電を行ったところ15分にしてほとんど自覚症はなくなりECG上S-T降下も正常にもどっている

 

【症例】48歳 男性 会社社長

現病歴: 高血圧 冠不全

【方法】20分仰臥安静後坐位にて心兪、厥陰兪へ左右両側置針15分

【結果】S-Tの降下度が軽くなっている。尚此の例にトレッドミル(=ランニングマシン)による運動負荷をこころみたがBruce1度(=運動レベル)でもすぐS-Tが降下してくるが心兪、厥陰兪の置針の場合はS-T降下度が少なく呼吸もずっと楽であることを確め得た。

(S-Tの降下は心臓の肥大があったり、心臓の血液循環が十分でなく、心筋への血液供給が不足する場合にみられる所見)

 

 

【考察】

以上2例より置針、低周波通電はニトロール様作用(二トロール錠:狭心症や心筋梗塞などの治療に用いられる薬。胸の重苦しい圧迫感やしめつけられるような胸痛を速やかに和らげる)を有していると考えられる。

⑤の冠不全で洞性頻脈がつづきインデラル60mg/日 使用中頻脈はとれるが心兪、厥陰兪置針後のS-T改善は著明でなく、アダラート30mg/日 使用時にはS-T改善が著明にみられた。したがってS-T改善作用は先ず交感神経にはたらくと考えられる。しかし脈膳の増加、血圧上昇等はみられないので更に他の神経メカニズム或いは血中物質の作用があるのであろうと推定せられる。生理学者の佐藤(東京都老人病綜合研究所)は皮膚内臓反射をくわしく研究しているが、マウスの皮膚をつまむと脈増加反射がおこり、これは交感神経を介しておこることを実証していることは興味深い。

 

◎要約

自律神経の過緊張による心室性期外収縮、又虚血による心室性期外収縮は郄門置針低周波通電により(2~3回)消失した。その際心筋活動の高まりと共に左心房内腔がせまくなり左心機能の改善にもつながると考えられる。著明な血圧変動、脈騰変動はない。自律神経の過緊張の調整、虚血の改善が主な作用と考えている

 

 

今回は「期外収縮に対する鍼灸治療における臨床研究、またそのレビュー」についてお話させて頂きました。少し専門用語などもあり難しい内容となっておりましたがいかがでしたでしょうか?

前回お話させて頂いた通り、鍼治療は自律神経の調整に作用し、期外収縮へ効果を及ぼしているという事がここから読み取れるかと思います。

次回は「期外収縮に対する鍼灸治療で使われる経穴」についてお話させていただきます!
最後までお付き合いいただけますと幸いです。


セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 千葉駅前院 佐々木


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