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痛みの正体

2026.05.24

皆さんこんにちは!セドナ整骨院千葉駅前院 鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の佐々木です。

日頃よりブログをご愛読くださりありがとうございます。

今回は「痛み」を題材として少しお話させて頂ければと思います。

首、肩、腰、神経痛や四十肩・五十肩。体の痛みについてのお悩みは尽きないことかと思います。しかし私たちが普段敵対視している厄介な痛みですがその実、身体保護のために役立ってもいます。「痛み」についての理解を深めていきましょう。

~そもそも痛みとは何か~

皆さんは「痛み」にも種類があることをご存じでしょうか?

そもそも痛みには『生存を脅かすような危険から身を守るために必要な感覚』≒『アラーム』のような役割があります。痛みが出た際の人間の行動の変化として代表的なものが以下の三つです。

①痛みを感じることで無理な行動を抑制するようになる

②痛みが持続することで、治療や回復の行動を取るようになる

③痛みを感じたときの記憶によって、リスクのある行動を避けるようになる

反対に、痛みを感じなかったとしたらどうでしょうか?1つ例を挙げると「先天性無痛無汗症」という難病があります。

この疾患は全身の温度覚(熱い・冷たいを感じる)と痛覚(痛みの感覚)が消失するという症状を持ち、痛みに気付かないまま骨折・脱臼などの外傷、熱傷や凍傷を繰り返し、骨折がうまく治らなかったり脱臼を繰り返すことを通じて、シャルコー関節と呼ばれる関節変形に至ってしまったり、熱傷や凍傷を繰り返すことでケロイドや瘢痕が形成されてしまうこともあります。

また、日常生活の中でも痛みを感じないことによるトラブルが起こりやすく、たとえば熱い食事やカイロによる火傷、気付かないまま運動を続けることにより骨折の悪化、靴擦れや小さな切り傷が化膿するなど悪化してしまうといったケースも見られます。さらに、口の中を噛んでも痛みがないため傷が深くなる咬傷など、日常の些細な行動が大きな損傷につながることもあります。

痛みがない生活とは、このように多くのリスクが伴います。

痛みのおかげで危険を回避し、安静にして回復を待ったり、治療に取り組んだりできます。

つまり、痛みは人間が生存するために必要不可な防御反応なのです。

ちなみにちょっとした雑学ですが、生物が痛みの感覚を手に入れたのは4億~5億年前頃と考えられており、人間だけでなく、さまざまな生物が痛みに伴う行動をとることが知られています。魚やカエルなど人間と同じ脊椎動物はもちろんのこと、軟体動物のタコやイカも痛みを感知して回避行動をとると考えられています。さらに、最近の研究では節足動物も痛みを感じている可能性があるとの報告もあり、今後、さらなる発見の可能性もあります。いずれにしても、痛みの感覚は生存可能性を高めるため進化的に獲得された重要な機能であることは間違いありません。

そんな痛みの感覚の発端は、皮膚や筋肉、内臓などの組織で生じた衝撃や炎症、病原体などからの刺激です。これらの刺徴が末梢の神経から脊髄を経由して脳まで伝えられ、脳の特定の場所だけで処理されるわけではなく、一次体性感覚野(S1)、第二次体性感覚野(S2)、島皮質、前帯状回、扁桃体、視床など複数の領域がネットワークとして働くことで痛みとして身体が認識します。これらは「痛み関連脳領域(ペインマトリックス)」と呼ばれ、痛みの場所や強さだけでなく、不快感や情動的なつらさも含めて総合的に処理しています。また、ペインマトリクスには含まれませんが、記憶を担当している「海馬」も痛みの学習に使われます。

上記の通り「情動的」つまり」痛みの感覚は心理的なストレスとも大きく関わっています。痛みの感覚がストレスによって生じたり、増加したりすることがあるのです。例えば、腰痛には心因性腰痛と呼ばれるものがあります。腰に痛みの原因がなくても、不安やうつなどの心理的な要因によるストレスが、脳や脊髄に備わっている「痛みを調する機能」の異常をもたらし、体の浦みを感じてしまうことが少なくないのです。現在、こうしたタイプの腰痛などの痛みは「痛覚変調性疼痛」と名付けられ、鍼灸も治療法のひとつとなっています。

慢性疼痛と鍼灸

ここまで説明した通り、痛みは私たちの生存に必要不可な感覚です。しかし、強く感じたり慢性化したりしてしまうと日常生活に支障が出てしまい、体を守るためのものであるはずが逆にその為に生存が脅かされてしまいます。

そこで、古代の人々が編み出した治療手段のひとつが鍼灸です。特に長期にわたって痛みが続く慢性疼痛(慢性痛)への鎮痛効果が期待されています。

慢性疼痛は、一般に3ヵ月以上継続する痛みや、通常の治療期間を超えて続く痛みを指します。ケガや病気などによって起こる急性痛は原因となるケガや病気が治まれば痛みも和らぎますが、痛みがひどかったり、長引いたりすると慢性的な痛みへと移行してしまうことが少なくありません。

例えば、腰を例にすると、最初はぎっくり腰だったり、一時的な疲労による腰痛だったりしますが、それが悪化したり長引いたりして生じるのが慢性疼痛です。その原因は、元々の「体の痛み」だけではなく、先ほど述べた心理的ストレスなどによる「痛みの調節機能の異常」や、病気による神経系への影響などが組み合わさって起こると考えられています。そのため、何かひとつの原因を解消すればよいというわけでなく、薬物療法などの西洋医学的なアプローチでは解決が難しいことが少なくありません。そこで、治療の選択肢として期待されるのが鍼灸なのです。

実は、人間の痛覚メカニズムはまだ完全には解明されていません。しかしながら鍼灸治療によって痛みを抑えるメカニズムは数十年の時を経て徐々に明らかとなりつつあります。次回からは鍼灸治療の素晴らしさを最新の研究と共にお伝えできればと思います。

最後までお読みくださりありがとうございました。

セドナ治療院グループ 千葉駅前院 佐々木

【参考文献】
・厚生労働省「難病情報センター」

・「東洋医学はなぜ効くのか」著:山本高穂、大野智

・加藤総夫(2024)「無脊椎動物の痛覚変調性疼痛 ― 5億年の進化を超えて」

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