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「東洋医学⑳ 奇恒の腑」

2020.01.10 | Category: 東洋医学

こんにちは!
セドナ整骨院・鍼灸院のアロマセラピスト、前田です。

前回は「水の臓=腎」の不調についてお話させていただきました

簡単におさらいをしますと、腎の主な働きは精を蔵する「蔵精作用」

吸入した気を肺から腎に降ろす「納気作用」、水液代謝を調節する「主水作用」です。

腎が不調になると以下のような症状が出やすくなります

・身体の不調:発育不良、性機能減退、呼吸困難、浮腫み、排尿障害

 

今回は「奇恒の腑」の不調について説明していきます。

 

 

 

「奇恒の腑」は五臓とも六腑とも異なる

『通常ではない臓器』とも言われます。

具体的には、脳・髄・骨・脈・胆・胞宮(女子胞)を指します。

これら6つの奇恒の腑は機能的には五臓と似て

精気を貯蔵して身体の成長活動の源を担っています。

一方、形は腑に似ていますが

六腑のように消化吸収をすることもなく、胆以外は対になる臓腑もありません。

その為『奇恒=通常ではない』と呼ばれています。

「脳」は頭骨の内部にある大きな「髄」であると考えられています。

また、「骨」は「髄」によって養われており

「脳」や「骨」の中を満たしているのが「髄」です。

今回はこの3つの奇恒の腑の働きと

それぞれの変調による不調を紹介していきます。

 

「脳」は髄の海ともいわれ、体内において髄を最も多く蓄えています。

古代中国では、脳は主に五官の働きと四肢の運動・感覚を支配すると考えられていて

「脳=精神活動の中心」と重要視されるようになったのは現代になってからです。

したがって、蔵相学説でも脳の変調は五官・四肢の不調として現れるとされています。

具体的には、脳を満たす髄精が不足することで脳髄の栄養状態が悪くなってしまいます。

それにより、健忘、めまい、耳鳴り、五官(鼻・目・口唇・舌・耳)の不調が症状として現れます。

又、脳の髄が不足すると疲れやすく、活力が無くなります。

悪化すると四肢の倦怠感や脱力感など、運動感覚に症状が現れます。

 

 

「髄」は脳や骨の中にあり、骨格を滋養する「腎精」が変化したものとされています。

 

髄が虚すると骨に栄養を供給することができなくなってしまう為、骨格が脆くなってしまいます。

骨髄が空虚になってしまうと骨盤周りが不安定になりやすく、足が萎えて歩行困難等の症状が現れます。

又、「歯は骨の余り」とされており、歯のぐらつきなどが生じる場合もあります。

 

「骨」は『霊枢』の経脈篇に「骨を幹と為す」とあるように、身体を支える柱です。

又、『素問』の脈要精微論篇では「骨は髄の腑」とされ

骨には髄が蓄えられ、骨は気・血と髄によって養われています。

骨と髄は腎との関りが深く、腎気が不足すると、骨に影響が現れやすくなっています。

腎気が減った影響で骨の髄が減った状態が常になると、骨粗しょう症などの症状が現れます。

逆に腎気が熱を帯びると腰が抜けたような状態になりやすくなってしまいます。

次回も「奇恒の腑」の不調についてご紹介していきます。


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